ブラウニー 2月4日は本学の一般入試が全国7ヶ所であり、わたしは福岡を担当した。新聞報道されているとおり、一般入試A方式だけで1200人近い受験者があり、大阪、福岡、岡山が受験者数のトップ3を占める。200人を超えたのは、この3会場だけであった。昨年、全試験の受験者総数が300人弱だったはずだから、ほぼそれに匹敵する人数の受験者が福岡に集まったことになる。試験会場はまるでコンサートホールのようだった。来年から公立化する私学が、私学としておこなう最後の入試に、国公立の志願者が殺到しているのである。バブルだね。
前夜、福岡入りした。福岡は仙台のようにバブルな夜とは言い難いが、仙台の「
ケリー 」の記憶がなまなましくあり、ネットでジャズ喫茶を検索すると、天神の「ブラウニー」がヒットした。ほかにも何軒かあるのだろうが、時間の余裕がなく、「ブラウニー」を訪ねることにした。だって、ブラウニーといえば、クリフォード・ブラウンの愛称でしょ。それだけで十分だ。50~60年代のバップを聴かせる「スタンダードの店」だと紹介されている。ジャズと言えば、この時代に限る、と多くのマニアが思っていることだろう。メセニーもジャコもバップ好きからみれば、やっぱりフュージョンなんだろうな。
ブラウニーは安国寺横のビルの6階なので、難なく探しあてた。期待に胸をふくらませ、店に入る。全部で20席ほどあり、ベランダにもテーブルを設えているが、お客はカウンターに3人だけだった。カウンターの内側には店主とサポートの男性が二人。5人で楽しく話している。
テーブル席に一人腰掛けた。スタンダードをうたう女性ボーカルの声がスピーカーから聞こえてくる。あぁ、やっぱりいいな・・・と思いつつ、しばらく聴いていると、LPでなく、CDの音だと分かった。オーダーを聞きに来たサポートの男性に「だれですか?」と訊くと、「MAYUMIという地元出身のジャズ・ボーカリストのCDが発売されたので、それをかけているのです」とのこと。発音も綺麗だし、歌も上手い。が、ジャズで儲かるほどのボーカリストになれるか、といえば、残念ながら苦しいかもしれない。ダイアナ・クラール、ノラ・ジョーンズ、小野リサ、ジョアンナ・ウォン・・・ああいうアンニュイなかすれ声の全盛期にあって、正統的なジャズ・ボーカルで食べていくのは大変だろうね。
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2012/02/08(水) 00:00:11 |
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ケリー 仙台の夜にジャズ喫茶を所望した。知人の一人がジャズ好きで何軒か行きつけの店があり、国分町の「ケリー」という店にご案内いただいた。16席しかない狭いせまい店で、カウンター席とレコード棚を挟んで大きな四角テーブルがあり、そのテーブルで相席となった。『アンダーカレント』が流れている。ビル・エヴァンスの透明なピアノにジム・ホールの甘いギターが融けこんでいく。学生時代、よく聴いたアルバムで、まだLPが家に残っているはずだ。
バーボンソーダを注文すると、まもなくマイルスの『いつか王子様が』に変わった。わたしは本ブログで何度かマイルス嫌いであることを表明しているが、このアルバムはいいね。なんたって、ピアノがウィントン・ケリーだから。そう、この店の名「
ケリー 」はウィントン・ケリーからとったものなんだ。マイルスのミュート・トランペットの枯れたメロディからコルトレーンのソロに変わるとやや無粋に聴こえる。このころのコルトレーンはまだマイルスを超えていない。ポール・チェンバースのベースが効いてるね、とくに出だしには驚くな・・・
知人は、さかんにリクエストを迫る。バーボンソーダを3杯あけたところで、また迫られ、しょうがないから、
「ダイアナ・クラールの
ライブ・イン・パリス か・・・ルック・オブ・ラブでもいいですよ」
とお願いすると、対面にいた線香さんが「かっこいいですね」と呟いた。かっこつけたつもりはまるでなくて、ただダイアナ・クラールが聴きたかっただけなんだけど、ジャズを知らない人にはそう聞こえるのかな。
リクエストして、少々反省。CDの音はクリアすぎる。やはり50~60年代のLPを大スピーカーで聴くべきだった。あの時代の音が味わえる場所なんだから、CDは控えたほうがいい。
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2012/02/04(土) 00:00:57 |
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いったい何事だい What's It All About 「ブライト・サイズ・ライフ」はひとまず棚にあげて(笑)、パット・メセニーのソロギター・アルバムを探していたところ、2001年の『One Quiet Night(静かな夜に)』と2011年の『What's It All About(いったい何事だい)』があることを知った。ジャズ通のような顔して、こんなことも知らないわけです。アマゾンのカスタマー・レビューでは、前者が29レビューの4★半、後者が13レビューの3★半で、いま先に届いた『What's It All About』をざっと聴いたところだが、3★半は妥当な評価か、やや高めではないでしょうかね。
『What's It All About』はメセニーの最新作らしく、アマゾンの紹介文も英文のままだし、CDジャケットの解説文も英文のままだ(輸入盤だから当たり前か)。そんなに暇ではないけれども、学生たちの発表練習待ちの時間を利用して訳してみましょうか。
アマゾン【商品の説明】 ギタリスト兼コンポーザーのパット・メセニーがお届けする2011年のソロ・アコースティック・アルバム。かれの名のもとにレコーディングされた40近いアルバムのなかで、自ら作曲した作品を含まない初めての記念となるものだ。というよりも、『What's It All About』はメセニー個人にとって意義深い10曲の懐メロによって構成されている。非常に有名な曲もあれば、それほどでないものもある。メセニーはニューヨークの自宅で、深夜の短い時間を使って、『What's It All About』の楽曲を録音した。どの曲をテープに納めるかを選択する際、メセニーは言った。「ぼくは自分が作曲する以前、あるいは2~3のケースだが、インストをプレイする以前から、自分の触覚がとらえていたいくつかの音楽を録音したかった。ぼくは1954年に生まれた。これらすべての曲は、ぼくの少年時代と10代初期の間にトップ40の中にあったものばかりなんだ。ポピュラー音楽のなかで、ハーモニーとメロディがなお重要で、成長する要素であった時代だったよ。これらのどの曲も、たとえ排除しようとしても、音楽的レベルでほんとにカッコイイ何かをもっているから、ぼくは何年も、それらの虜であり続けたんだ。」
CDジャケット【セルフ・ライナーノーツ】 これはストレートなソロ・バリトン・ギターのレコードで(注記のある曲では楽器を換えている)、編集はしているが、オーバーダブ(多重録音)はしていない。そして、以前のソロ・バリトンギター・アルバム『One Quiet Night』と同様、レコーディングを通して使ったチューニングはADGCEAであり、弦の相互関係は通常のギターの5音下げである。ただし、ナッシュビル・チューニングのように、3弦と4弦を通常より1オクターブ高い弦に張り換えている。このチューニングの場合、5弦と6弦はかなり低いピッチとなる。通常より長いバリトン・ギターの大きさはこのやり方によくあっていて、ヘビーなベースギターの弦を必要とする。今回のレコーディングにあたって、わたしは弦の相互関係を維持しながらも、曲ごとにA♭からCの範囲のなかで、全体のチューニングを(平行)移動するように変えていった。かなり以前にレイ・ハリス博士から初めてこのチューニングを学んだ。博士は、わたしの故郷ミズーリ州リーズサミット市出身の偉大なギタリストであり、発明家である。 -
パット・メセニー [パット・メセニーの憂鬱(Ⅳ)]の続きを読む
2012/01/19(木) 00:00:45 |
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夢を描いて 六弦倶楽部のお二人には、大変お世話になりました。前夜、まずlevanteさんがあらわれ、酒蔵ホールにPAをセットしてくださった。ごらんのとおり、身分不相応の素晴らしいセットである。当日は午前十時ころから練習を始め、一時間ばかりして、月太郎さんご夫妻があらわれた。ギブソンのギターに学生の視線が集中。以下のような役割分担で練習を進めた。
月太郎さん: ボーカル、アコースティック・ギター
教員A: フラット・マンドリン、コーラス
教員B: エレクトリック・ベース
学生A: ピアノ(まれにミニ・アコーディオン)
学生B: カホーン
学生C: エレクトリック・ギター
原曲の「恋は桃色」は、1番と2番を唱うだけだから、2分40秒ほどで終わる。これではつまらないので、2番のあとにフラマンとピアノのソロを入れて1番に戻ることにした。簡単なような曲で、なかなかあわないところもあり、結構練習が長引いた。
休憩の時間、学生Aさんにジャコのピアノを弾いてよ、と頼んだ。シールマンスとのデュオ「
Three Views of a Secret 」(以前ブログに貼り付けています)を耳コピしたと聞いていたので、弾いてもらったのだが、これにおじさん二人はぶっとんでしまった。こんな演奏をできる人なんだから、さぞかし「恋は桃色」の練習は退屈だったことだろう・・・
[パット・メセニーの憂鬱(Ⅲ)]の続きを読む
2011/12/14(水) 00:56:09 |
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E7 と Em7 「猫と私と音楽」をテーマに掲げたプロジェクト研究に3名の学生が集まった。みな音楽がやりたい。が、レベルと指向がちがう。ひとりはジャコとメセニーを愛する人並みはずれたレベルの持ち主で、もう一人は「楽器はできないが、この半期の間にギターが弾けるようになりたい」と言って中古のフェルナンデス(ストラト型)を買った。3人目の学生は、両者の中間的レベルで、ドラムを叩く。
教師のレベルは、人並みはずれた学生よりも低いが、音楽の指向性は近い。二人ともジャズを好んでいて、学生はジャコ&メセニー以降の超モダンな音楽を指向しており、わたしもジャコをおおいに尊敬している。ジャコはジャズ史上、革命的な存在だ。何度聴いても、そう思う。パーカーやコルトレーンやドルフィーに匹敵する・・・あるいは、それ以上の評価を与えるべきかもしれない。一方、メセニーはどうかというと、ジャコほどの「天才」ではない、とわたしは思っている。ジャズはよく聴いてきたが、いったいだれが好きなのだろう・・・前にも書いたかもしれないが、わたしはパーカーよりレスター・ヤングを好んでいる。無性にレスター・ヤングのバラードが聴きたくなることがある。
さて、学生たちは「Jポップ」が音楽の常識としてある。わたしには、さっぱりない。なにがJポップで、なにがKポップなのかさっぱりわからない。カラオケでよく唱うのは斉藤和義だが、あれは頼まれるから唱っているだけで、斉藤和義という歌手が好きなわけではない。ついでに言っておくと、エグザイルと嵐はなんどCDを聞いても、カラオケで唄えるレベルにならない。SMAPは唄えたのに・・・
[パット・メセニーの憂鬱(Ⅱ)]の続きを読む
2011/12/13(火) 00:59:14 |
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