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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

サテンドール(ⅩⅠ)

2012西谷アイ01


パン工房 アイ

 智頭町西谷にパン屋さんがあって、そこの食パンがものすごく美味しいのよ、と教えていただいたのは、昨年の晩秋だったであろうか。アイという名のパン工房で、経営者は神戸からのIターンだというから、触覚がびくびく動いた。
 大雪の冬があけて、ようやく西谷を訪れようとした日、津野ではまた雪が降った。高速(鳥取道)にのらないまま国道53号を南下するのは、いったいいつ以来のことだろう。懐かしい風景の連続に心は躍ったが、あきらかに車量は少なくなっている。活力の衰微を感じないといえば嘘になるだろう。智頭の桜土手に提灯は吊されているけれども、まだ花は開いていない。山肌を彩っているのは梅と三椏である。春はまだ遠かった。
 志戸坂峠の入口にあたる山郷あたりで右に折れる道があり、道路標識はその先に「西谷」があることを告げている。鳥取道開通以前、その標識をなんどみたか分からない。しかし、西谷の谷筋に踏み入ることはなかった。アイという名のパン工房があり、そのパン屋さんの主が神戸からのIターンで、しかも、ジャズ・カフェを併設しているという情報を得ていなければ、ぼくの人生に西谷との接触は生まれなかったかもしれない。

2012西谷アイ04


 南行する国道53号から右に折れて西谷に向かうと、それまでとは違う空気を感じた。風景に差があるだけでなく、過疎の山間地であるにも拘わらず、なにがしらのパワーが運転席に押し寄せてくるような気がした。まもなく石垣を伴う棚田が車道の左右にひろがり始める。「伝えたいふるさと鳥取の景観」百景(2000年)に「新田の石積み畦畔」が選定されていることを後で知った。
 新田は西谷の字名である。わたしの故郷の河原町にも新田がある。西郷地区のいちばん奥地にあり、そこから中学校に通う同級生がいて、苗字を覚えていないけれども、みんなから「新田」という愛称で呼ばれていた。新田は谷筋の最も奥地にあり、その生徒は毎朝4時に起きて、中学校に通うのだと聞いた。奥地にあるから歴史が古いわけではない。新田とは「新たな開墾地」を意味する。周辺の農村より歴史は浅いのである。西谷新田には「新田開拓三百二十周年記念碑」が立っている。参勤交替路であった上方往来沿いの街道集落をのぞく大半の集落は中世起源の農村だが、新田の成立は正保年間(1645年頃)という。


2012西谷アイ10渓流

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  1. 2012/04/08(日) 23:15:26|
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あなうらめしや(Ⅶ)

2012ほんぜん05


本 善

 龍穴と天岩戸の参拝を終えたぼくたちは、宇田松山に向かった。まる一年前に訪れた、あの小路の食堂で夕ご飯を食べたくなったのである。というよりも、この日の夕飯はあの大衆食堂にしようとはなから決めていた。
 今年もまた、夕暮れに松山町に着いた。重伝建の町は、少しだけ修景事業が進んでいる。修景部分は白木のままで、古材との対比が目立った。こういう手法があっても全然わるくはない。そしてまた今年も、「奈良一」で瓜と西瓜の奈良漬けを買った。日田で仕入れた小鹿田焼の壺に入れたい。茶漬けをすするのだ。

2012ほんぜん06


 その後また、ぼくたちは満法寺にぬける小路をめざした。そこに大衆食堂「本善」がある。小路に入って不安になった。本善に灯りがついていない。しかし、扉は開いている。中は暗かった。「ごめんください」と何度か呼びかけると、しばらくしておじいさんがあらわれた。まもなくおばあさんの声もした。コンクリートブロックのインテリアはもちろん健在だ。カーティス・フラーの穏やかなトロンボーンが聴こえてきそうな、やわらかい昭和の空間をコンクリートブロックの障壁が貫く。その不釣り合いな調和のなかに身をおいていると、前衛的なエリック・ドルフィのバスクラリネットがギャア、ギィと唸る。そんな幻聴を捉えたのは、おそらくぼくの三半規管だけだろうが・・・アナログTVのスイッチが入り、ストーブに火が点く。天井の蛍光灯にあかりが灯り、準備万端。ぼくたちは、チキンライスとたまご丼と中華ソバを注文した。10分ばかり待つ。どういうわけか、オムライスと玉丼がでてきた。

  「えっ、オムライス、言わはったでしょ?」
  「いえ、チキンライスだったんですけど・・・でも、かまいませんよ」


2012ほんぜん02


 オムライスも、玉丼も美味しい。横に坐ったおじいさんに質問を投げかける。おじいさんは超然としている。82歳で、すでに50年以上食堂をやっていて、本善は矢野家の屋号で、息子たちは後を継いでくるかどうかさっぱり分からん、と言われた。そうこうしているうちに、中華ソバをおばあさんがもってきた。小さなお椀2杯に分けてくれている。こちらも旨い。上下の写真にメニューが映っているけれども、読めないでしょうね。定番料理ばかりですが、お値段は500~600円のものばかり。こういう大衆食堂が減ってしまったでしょう・・・・ぜひ松山町に来て、本善でお食事を楽しんでください。
 今日はインテリアをどがどかアップしておきます。看板娘(おばあさん)の写真が撮れなかったのが残念でした・・・


2012ほんぜん04

2012ほんぜん03

2012ほんぜん01

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  1. 2012/03/29(木) 23:59:19|
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ヴァレンタインのCSNY

0214csny01.jpg

 ダージリンを啜りながら、今年最初のヴァレンタイン・チョコをかじってます。先週、特養で母親にもらったチョコレート。私と息子に同じものを用意してくれました。
 ごらんのとおりのお洒落なチョコで、驚いたことに、袋にはCSNYの四文字がみえます。ついに、クロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤングもお菓子業界に打って出たか・・・なんて訳ありません。CSNYとは、

   Chocolate Show in New York

のイニシャル4文字です。ニューヨークの略称はN.Y.だから、正しい商標はCSN.Y.でした。

 真っ黒の紙バッグ(↑)だけでなく、箱(次ページ上)もお洒落ですが、後者はなんとなく高田渡の「スキンシップ・ブルース」を彷彿とさせるデザインですね、だはは・・・

 チョコは6個入り。マンゴー、カシス、コーヒー、アップル、キャラメルの5種類があって、そのうち1個がだぶってる。いったいだれに頼んで、88歳の老婦が、こんな上品なチョコを探しあてたのか?

 来週はいよいよヴェレンタイン・ウィークですが、おじさんたちは冬眠だよね。家で寝てよう。



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  1. 2012/02/12(日) 10:05:02|
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あなうらめしや(Ⅵ)

02東蕎麦01


赤い夕陽が目に沁みる(余話)-吾妻蕎麦

 老舗の蕎麦屋「吾妻蕎麦」にいつもの釜揚げを食べにいった。その日は午後から鳥取城の発掘現場を視察することになっていて、蕎麦屋と現場が近いので、久しぶりに吾妻蕎麦で昼食をとることにしたのである。たぶん半年ぶりぐらいだろう。田園町や寺町に住んでいたころ、毎週のように通っていたが、大覚寺に引っ越してから足が遠のいた。「たかや」は大学との中間になって通いやすくなる反面、通勤圏外の吾妻蕎麦には疎遠になったのである。
 暖簾をくぐると、若女将がにこやかな顔で「あら、お久しぶりですね」と迎えてくれた。たしかに、そうだ、久しぶりだ。いつものように、いちばん奥の席に陣取り、熱い釜揚げを注文。山陰中央新報紙を開いてまもなく、釜揚げが卓にでてきた。一味を振りかけながら、店をちょろちょろみまわした。大女将がいない。
 「おかあさんはどうしたんですか?」と訊ねると、若女将の顔が曇った。

 「一年前の正月4日に亡くなったんです」という報せに言葉を失った。わたしは一年以上「吾妻蕎麦」を訪れていなかったのか・・・大覚寺に引っ越したのは一昨年の11月だから、その二月後に、あの元気だった女将さんが旅立たれたのだ。いつもいつも良くしていただいた。夏は冷たい釜揚げ、冬は熱い釜揚げに決まっていて、それ以外のメニューを注文したことはほとんどない。釜揚げ蕎麦をたくり、蕎麦湯をがぶ飲みする。
 たいてい夕方4時ころ暖簾をくぐる。テレビはいつも「水戸黄門」の再放送で、「別の番組にしましょうか」と女将は必ず問うが、そのまま黄門様を視るに決まっている。お総菜を一品足していただいたり、体に良いからと梅干しや黒酢ドリンクをいただいたことも一度や二度ではない。
 夢のようだ・・・Always(永遠)なんて嘘じゃないか。 

02東蕎麦02

  1. 2012/01/28(土) 00:15:02|
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あなうらめしや(Ⅴ)

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白壁倶楽部

 センター入試2日目、先生方は業務に忙殺されており、わたしがお客さまを倉吉にお連れすることになりました。まずは、昨年3月にオープンしたレストラン「白壁倶楽部」へ。白壁倶楽部は鳥取初の登録文化財「倉吉大店会(旧第三銀行倉吉支店)」を活用したカフェ&レストランです。外観を土蔵造(耐火構造)とする一方、内部は擬洋風の木造で、明治41年(1908)の竣工。改修は天井と床の一部に手を入れた程度のため、銀行として利用されていた当時の雰囲気をほぼそのまま残しています(↑)。
 お客さまのコメントを借用しますと、「シャレオツですね!」。1日限定20食の「白壁ランチ」に舌鼓をうちました(↓)。

R0034496.jpg
「白壁倶楽部」
 住所:鳥取県倉吉市魚町2540 
 TEL:0858-24-5753
 HP:http://www.justmystage.com/home/shirakabe/



R0034474.jpg
  
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  1. 2012/01/18(水) 00:17:26|
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