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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

『都市保全計画』を読んで

 大学院の授業「地域保全論」で、西村幸夫さんの『都市保全計画』(東京大学出版会、2004)を輪読している。前期は大学院生とわたしの4人だけだったが、後期からはチョン助教授、山田助手のほか、県教委の松本さん、市立歴史博物館の佐々木さんも加わって、結構にぎやかな講読会になってきた。
 昨夜は、大学院の馬場さんが中国の保全計画について紹介した。話題の中心は「歴史文化名城」。ここにいう「城」とは、都市を意味する。「歴史文化名城」に指定された都市は、地上と地下のすべての文化財に配慮しつつ、都市の将来像を築いていくべきものだと唱っているのだが、はたして実態はというと、猛烈な開発によって民家・町並み・近代建築・遺跡等が破壊され続けている。北京や上海がその代表だ。わたしがはじめて中国の地に降り立ち、2年間の留学生活をはじめた1982年、新しい文物保護法とともに「歴史文化名城」の制度は出発した。いまでは104の都市が国の「歴史文化名城」に指定されている。しかし、中国の文化環境の保全がよい方向に向かっているとは決して言えないだろう。共産主義の国でありながら、資本主義の道を邁進する中国にとって、なにより優先されるのは経済開発であって、「環境」も「景観」も「文化財」も二の次扱いされている。
 それとまったく反対の様相を示すのがイギリスである。こちらは、前回と前々回の2度にわけて、大学院の細谷君が紹介してくれた。イギリスは、資本主義の国であるにもかかわらず、共産主義のようにして国家が土地を買いあさり、国土の景観と文化遺産をまもろうとしている。イギリスのどの田舎町を訪れても美しいのは、国民の民度が高いだけでなく、行政の管理と規律が行き届いているからであることが、この本を読んでよく分かった。昨年と今年、イギリスを訪れて抱いていた印象の背景にあるものが少しだけ理解できたように思う。
 イギリスと言えば、チョン先生と佐々木さんの博識ぶりに驚かされた。お二人とも、なんでこんなによく知ってるの、というほど、イギリスの都市計画・保全計画にくわしい。まぁ、チョン先生は都市計画の専門家だから、知識があっても不思議ではないのだが、佐々木さんは日本近世史の専門家だから、どこでどうなって、こういう知識を大量に仕入れられたのか、いちどじっくり教えていただきたいものである。

 昨夜は、今年最後の輪読会だったので、大学院生室にて、ささやかながら忘年会を開いた。ワイン2本と北海道で買ってきた鮭冬葉にチーズ。クリスマス・プレゼントは、至文堂の『出雲大社』でした。
 では、来年。トップバッターは松本さんです。


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  1. 2005/12/22(木) 14:08:05|
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asa

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