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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

スリランカの紅茶に悩む

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 スリランカで飲んだ紅茶は、べらぼうにおいしかった。イギリスで飲んだ紅茶よりもはるかに美味であって、その秘訣は気取りのないところである。コーヒーに目がないわたしが、スリランカ航空の機内食以降、旅行中ずっと紅茶ばかり飲んでいた。コーヒーは、ついでの飲み物になってしまったのである。
 スリランカの紅茶は、口に含むと芳香な味わいがして、苦みを感じない。ストレートで飲んでも、ライムを浮かべても、ミルクと合わせてもおいしい。スリランカ人は、ダストと呼ばれる細砕粉の茶葉をたっぷり使って、粉ミルクと砂糖をたっぷり入れたお茶を好む。帰国の日に、コロンボ郊外のスサンタさんのお宅でいただいた紅茶が、まさしくそういう甘いミルク・ティーであった。

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 ヌワラエリアの茶工場ピードルー・ティーファクトリーで、たくさん茶葉を買った。1箱150ルピーだから、日本円では170~180円ぐらい。お土産には打ってつけの品である。茶葉をおさめた箱には、BOP、BOPF、Dなどのシールが貼ってある。Bはブロークン、OPはオレンジペコ、Fはファニングス、Dはダストの略号であって、要するに、記号によって茶葉加工の具合が違う。当然のことながら、味も変わる。説明は詳細きわまりなく、なんとなく聞いていたのだが、正直なところ、なんだかよくわからないので、ともかくスサンタさんと工場側の言うがままに、BOPやBOPFやDを買いあさった。じつはFBOPという種類もあった。この場合のFはファインである。
 帰国後、もちろん大半の茶葉は親族、知人のお土産になった。手元に残ったのはBOPかFBOPのどちらかなのだが、ワイフが箱から茶葉を抜き出し、缶に詰め替えてしまったので、どちらの種類なのかわからい。
 ところが、困ったことに、この紅茶の評判が芳しくない。味が緑茶に似ているのだ。茶葉も緑茶そのもので、葉っぱの形が残っており、少し量を増やすとずいぶん渋みが出る。おかしい。スリランカで飲んだ紅茶には、こういう渋みや苦みがほとんどなかった。濃くても、まろやかな味がした。茶葉の量を変えて、なんどもお茶を淹れてみた。どうやら薄目の味がこの紅茶にはあっている。茶葉を少なめにティーポットに入れて、熱湯を注ぎ、3~5分ほどまって飲むとあっさりしたストレート・ティーを味わえるが、その味はやはり日本の緑茶にちかい。

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 スリランカの紅茶については、末広美津代さんという女性が非常にくわしい。末広さんは、わが愛読紙『日刊スポーツ』に勤務していたのだが、その職を辞してスリランカに飛び、まる1年各地の茶園をわたり歩いて、当地の紅茶を徹底的に学んだ方である。末広さんが帰国後に著した『泣いて笑ってスリランカ』『そんな紅茶で満足ですか』という2冊の本をネットで購入し、少しはスリランカ紅茶の基礎を学んだつもりだが、我が家のBOP(もしくはFBOP)の味から渋みは抜けない。
 一方、評判が上々だったのはティー・バッグである。アールグレイのティー・バッグは、たしか某大学院生が巾着をポニーテールの女性たちにプレゼントしたラブッケリエ・ティー・センターで買ったものだが、前日ピードルーですでにたくさんの茶葉を仕入れていたので、ラブッケリエで買ったお義理の品物の一つであった(若いころスサンタさんはこの店の女支配人を口説いてふられたとのこと)。ティー・バッグは他人のお土産ではなく、大学教授室用に買ったものである。これを来室するお客さまに淹れてさしあげると、すこぶる評判がよい。
  「上品な味がしますね」
客人の評価がお世辞ではないと思うのは、自分が味わった感想と同じだからであり、他のスリランカ茶葉と比較しても、ぬきんでた味をしているからだ。
 ティーバッグの袋に詰まっているのは、ダスト(D)である。ダストを直訳すれば「塵埃」だが、この場合、ゴミ・チリをさすのではなく、塵埃のレベルまで細かく砕いた粉状の茶葉をさしている。スリランカでは、ティーバッグ用ダストの製造技術が突出しているのであろう。ダストが美味いと思ったのは、もう一つの紅茶が関係している。ダンブラからマタレーに移動する途中に立ちよったランウェリ・スパイス・ガーデンで、スパイスの元になるハーブ類を見学した後、アトピー性皮膚炎に効くハーブオイル、脱毛用ハーブ軟膏、減量に効果のあるスパイス入蜂蜜&カプセルに加えて、スパイス・ティーのセットを買った。そのセットは、ダストの茶葉、スパイス(生姜+α)のダスト、バニラ・エッセンスの3点が箱に入っている。この3つに熱湯を注いで大量のミルクを加えて飲むと、ジンジャー・チャイに似た味がする。

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 わたしはこういうスパイシーなチャイが好きなのだが、ワイフと娘はスパイスを敬遠する。そこで、スパイスとバニラを抜いて、ダストの茶にミルクを混ぜたら、あのスリランカで飲んだ紅茶がここ日本で再現された。こういう紅茶は、3杯続けて飲める。ケーキやクッキーなどのスウィートにこれ以上あう飲み物はないであろう。
 じつは、ヌワラエリアのピードルー・ファクトリーでも、ダストの茶葉を2箱買っていた。一つはロンドンから帰国したばかりの長女が大阪のアパートに持って行った。「ミルク・ティーにあう茶葉」が彼女の希望だったからである。もう1箱は、「飛鳥」に寄付した。昨年のジャワ・ティーのように、常連客の「あがり」に使ってくれるものと期待してのお土産であった。しばらくして、あるブンヤから「飛鳥」に呼び出しをくらった。ここぞとばかり、わたしは研究室の冷蔵庫に収めていた350ミリリットルの牛乳パックをもって、居酒屋に繰り出した。
 そのブンヤはすでにべろべろで、耳障りな話をずいぶんしてくれたが、こちらの頭はヌワラエリアのダストにあったので、350ミリリットルの牛乳パックを女将に差し出し、
  「これでミルク・ティー作って!」
と注文したところ、女将は答えた。
  「あらっ、あのお茶、家にもって帰っちゃった。スリランカの高級紅茶でしょ。こんなところに置いとくの、もったいないから・・・」

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  1. 2006/04/17(月) 19:46:51|
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asa

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