連休前、東京新聞特報部から電話で取材を受けた。
「ご存じだとは思いますが、世界遺産の万里の長城が風化などで消失していってまして・・・」
と切り出され、あぁそうなんですか、と答えてしまった。某大学院生やら某助教授は、このことをよく知っていたのだが、取材される本人が何も知らなかったのである。鳥取にいると、チョンガーなので、家に新聞を取っていない。新聞を読むのはもっぱら蕎麦屋や喫茶店においてであり、あとはテレビをみるか、ネットのニュースをクリックする程度なものだから、このありさまなのである。
それにしても、なぜ、わたしが取材の対象になるのだろうか。不思議に思って問うたところ、ネットで「中国」と「遺跡」(あるいは「文化遺産」)をクロス検索したら、わたしの名前が出てきたのだそうだ。取材には、ぺらぺら答えてしまった。奈文研時代にはマスコミからの問い合わせが煩わしく、中田かイチローのごとき無愛想な応対しかしなかったものだが、最近は取材が減ってしまい、結構饒舌になる自分に呆れてしまう。結果、長城はさておき、雲南省の世界遺産「麗江」の町並みの捏造について長話をしたら、下のようなコメントが掲載され、本日、7日付けの新聞が大学に郵送されてきた。
中国は世界遺産の大好きな国だが、文化財保護に対する意識が高いかといえば、まったく低い。下の記事によれば、農民たちは長城の日干煉瓦を建材として持ち帰っている。漢長安城桂宮の発掘調査では、調査トレンチのエッヂに大量の大便がとぐろを巻いていたこともある。
中国人はただ「世界遺産」というお墨付きだけを愛していて、オリンピックやW杯の誘致とおなじレベルの仕事だという認識のもと、その登録事業にがむしゃらに取り組んでいる。それは国威の発露であり、「中華思想」表現の一形態のように思われてならない。
- 2006/05/12(金) 01:17:49|
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