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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

回想「廃材でつくる茶室」2004-2005(Ⅳ)

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女たちの男結び
 大工を父親にもつ、その女子学生はシオリちゃんと言った。もう一人、ユミちゃんという学生もいて、二人は小学校以来の同級生である。二人は大学にほど近い郡家(こうげ)という小さな町に住んでいて、小学校から高校まで同じ学校に通い、さらには近隣のニュータウンに新設された大学に進学したのだが、選んだ学科は違った。シオリちゃんは情報システム学科、ユミちゃんは環境デザイン学科に入学した。学科は違ったが、入学早々のプロジェクト研究は同じテーマを選んだ。じつは、こういうパターンは非常に多い。いま進行中の「古民家のリサイクル」というプロジェクト研究1&3(2006年度前期)でも、米子出身の同級生(男子2名)と八頭郡出身の同級生(女子2名)が含まれている。
 シオリちゃんとユミちゃんは、シオリちゃんのお父さんとお兄さんから「男結び」の特訓をうけてきた。直交する二つの木材を緊結するために縄を巻き、最後に縄を結んで締める。その結び方を「男結び」という。
 2004年5月20日、外は雨が降っていた。屋外での活動はできない。全員が実験棟と修復建築スタジオの間にある屋根つき吹きさらしのスペースに集まり、「男結び」の訓練をした。もちろん講師はシオリちゃんとユミちゃんである。裏山で伐採していた太い竹を縦横に並べ、二人は縄の巻き方と結び方を実演してみせた。すべての学生がこれに倣った。若い学生たちの技術の吸収力は早い。駄目だったのは、わたしである。わたし一人であった。なんとなく縄を巻いて結べるのだが、もういちどやってみて、と言われると出来ない。材と材の緊結も弱い。どうも才能がない、というか、はまりが悪い。昔からそうなのだが、サッカーとかギターのような得意分野に関しては、いくらでも吸収できるのに、パソコンに関してはいつまでたっても習熟できないし、正直言って、ものづくりも得手ではない。
  「やっぱり、おれは頭脳労働者だわっ」
と学生たちに弁解した。バツが悪かった。
 それにしても、この日のレッスンは効いた。「男結び」の技術がなければ、ツリーハウスは建設不可能であった。「男結び」は、金具を使わずに部材を接合していく建設技術の、まさに生命線となった。すでに、ツリーハウス建設の大前提に、
  「材料を買ってはならない」
という鉄則があると述べた。しかし、部材の接合に使う縄については買わざるをえない、と判断した。なにより接合部分が200ヶ所以上もあって、使い捨ての紐や縄では長さが足らない。そこで、おもに100円ショップなどを利用し、ビニール製の縄・紐を購入した。なぜビニール製なのかと言うと、麻紐や藁縄は値段がべらぼうに高く、その値段に反比例するように、湿気や水分に弱いからである。要するに、接合部分の安定的維持のためには、湿気や雨に強いビニール製の縄・紐が向いている。縄・紐を買ったとはいえ、その使い方にはゼロエミッションを徹底した。接合の際に、ある程度の長さの紐を切り取るが、結び終わったあとに余った紐は、どんなに短くても切り取って、必ず別の紐と繋いでおく。そうすることによって、別の場所の接合に使えるようにしたのである。
 なお、1・2年生のプロジェクト研究には、一人あたり1,000円の教材費が割り当てられている。総勢16名だから予算は16,000円。この16,000円の財政のなかから、紐・縄の経費を拠出した。ほかに買ったものと言えば、虫除けのスプレーと芳香剤、蚊取り線香、痒み止め薬であった。 (続)

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  1. 2006/06/03(土) 01:52:57|
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