6月16日付けの『赤旗』が送られてきた。もちろん、わたしは日本共産党の党員でもなければ信望者でもない。マルキシズムを学ぶより、古代インド哲学を学ぶほうがずっと楽しいだろうと思っている輩である。
『赤旗』の文化欄に、松本岩男さん(島根県立古代文化センター長兼島根県立古代出雲歴史博物館学芸部長)のコラム「発掘された巨大柱の構造 -出雲大社の起源を探る」が掲載され、その挿図として、わが研究室の復原図が転載されたのである。採用されたCGはご存じキム・ドク(別名タイガー戸口)の作図であり、発掘調査報告書掲載時のバージョンで、至文堂『出雲大社』のバージョンよりも一段階前のものである。『赤旗』の編集者には、その旨お知らせしたのだが、ひとつ古いバージョンが掲載されてしまった。
ここで懺悔するならば、発掘報告書の段階では、屋根を茅葺きだとわたしは考えていた。伊勢神宮正殿様式の導入から、棟持柱を採用するにあたって、豕叉首や茅葺きをも借用したのではないかと推定していたのだが、昨年のシンポジウムで中世史料に「檜皮」の記載があることを知り、至文堂『出雲大社』の段階で檜皮葺きに改めたのである。この変更と連動し、昨年度の模型制作では、急遽、屋根の葺材を改めることになり、松本さんを始め、関係者ご一同には大変ご迷惑をおかけした。この場を借りて、陳謝申し上げます。
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- 2006/06/20(火) 23:26:39|
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研究室の1期生・津村さんが、いままで来室していた。彼女の卒業論文「デジカメ&GPSによる鳥取市の文化財建造物MAP作り」(2005年1月)は、わが研究室が進めている県内建造物デジタルマッピングの基礎を築いた労作で、その成果は『鳥取市歴史的建造物調査研究-鳥取市歴史的建造物等のデジタル処理による目録・地図作成-』(2004年度鳥取市総合政策調査事業成果報告書)として公刊された。研究室の最新刊行物である
『市町合併にともなう文化財の地域問題-鳥取市歴史的建造物のデジタル・マッピングを中心に-』は、津村さんの業績を2期生の西垣・河田両君が引き継いだものである。
津村さんは、市内の某自動車学校に勤務している。その彼女から最近連絡が入った。木造建築、とくに古民家の模型を作ってみたい同僚の方がいるのだそうだ。そこで、彼女は民家模型の初心者にふさわしい図面がないものか、とわたしを訪ねて来たのである。卒業式以来の再会であった。
ところで、初心者向けの民家図面と言っても、なかなか選ぶとなれば難しい。いろいろ考えたあげく、河本家住宅の報告書をさしあげることにした。河本家住宅の主屋を模型化しようとする大それた試みではない。家宝の欄間をおさめる客間2室を作ってみたらどうか、と提案したのだ。客間については、さいわいヤンマーが展開図をとっていて、内側からみた立面図はすべてそろっており、写真も抱負に掲載されている。こういう提案をしたところ、彼女は即座に納得してくれた。
それからしばらく四方山話をした。結構、サッカーに詳しい。ブラジルに2-0で勝つなんてありえない、と発言すると、彼女はこっくり頷いた。それにしても、彼女は痩せていた。わたしが太った分だけ、彼女は痩せているのだ。ストレスが大変なのだそうだ。夏休みになるととても忙しく、月に一回休みがもらえるかどうか、だとも言う。卒業生はみな苦労している。タクオや岡村だけじゃない。津村さんも大変なんだ。しかし、女性の場合、痩せているほうが魅力的に映るから、忙しいのも悪くないのかもしれない。
- 2006/06/20(火) 20:30:11|
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