ノビタです。
次回のインタビューはイタリアvsオーストラリア戦の後にしようと思っていたのですが、ジーコ監督の退任記者会見がおこなわれましたので、急遽、教授に電話してみることにしました。
N: ジーコの退任記者会見が開かれました。A: あぁ、さっきテレビで映像が流れていたね。毅然とした立派な会見だった。お疲れさまでした。
N: ジーコ監督は「およそ4年間の任期を全うできてよかった。悔いはまったくない」と述べています。A: そりゃ本人は悔いはないでしょうよ。でも、日本人と日本サッカー界にとっては悔いの残る4年でした。ジーコは、日本代表は世界中のどんなチームと戦っても、「自分たちのサッカーをすれば十分通用するようになった」と言っていたが、現実を直視するならば、以前よりも通用しなくなったわけでして、できれば、時計の針を巻き戻したいよね。
N: 「黄金世代」の熟成期を返してくれって感じですか。それにしても、日本国民は寛容ですよね。A: ほんとにそう思うよ。あれだけひどい戦い方をしても、強烈にジーコを批判するわけでもなく、サッカー協会に押しかけて会長の辞任を要求するわけでもないからね。なにより、4年間ひとりの人物に代表監督をあずけていられるんだから、ほんとうに大和民族は寛容です。魏志倭人伝の記載は正確だね。倭人は「礼節を知る温厚な人柄」だと伝えている。
N: ジーコは選手として世界的なスーパースターでしたし、Jリーグを革新的にひっぱった功労者でもあり、首を切りにくいという協会の心情もわからないではないですが、トルシェについては・・・・A: ほんとよく耐えたよね。あの時代は、岡野俊一郎が会長だったけれど、中田英以下大勢の選手とトルシェの確執が伝えられ、美少年愛好家かホモだろうとの噂もあったし、中村を日韓W杯メンバーから外してしまうような暴挙に出ても、岡野はトルシェを擁護するんだからね。あの4年間、日本人はほんとによく辛抱した。日本人以外、トルシェを4年間も雇い続ける民族はいないよ。
N: 日本代表監督退任後のトルシェは何度首を切られたでしょうか?A: カタールの代表監督は半年ぐらいだったよね。マルセイユの監督も半年ぐらい・・・・モロッコの代表監督は2ヶ月ぐらいだったんじゃないか?? ジーコは今後どうするって言ってるの?
N: 「とりあえずリオに帰って仕事をする。欧州のクラブで監督をやるという目標も持っている」と話しています。A: 一部のスポーツ紙には、「FCポルトの監督就任か」という大見出しが出ていたね。
N: どう思われますか?A: FCポルトは3年前のヨーロッパ・チャンピオンでしょ。監督のモウリーニョはチェルシーに引き抜かれて、プレミアを2連覇した名将ですよ。なにかと比較されるだろうね。なにより今回のW杯で、ジーコは監督としての評価を下げたから、なかなかヨーロッパのチームから声がかからないんじゃないだろうか。
N: 先生は、ポスト・ジーコの監督選びについてはどう思われていたのですか?A: 最初はベンゲルとエメ・ジャッケが有力な候補だとして新聞紙上をにぎわしていたでしょ。二人ともだめだ、というか、決して日本代表の監督を受けないと思っていましたよ。ベンゲルは日本代表に対して、そんなに愛着をもっていないし、ジャッケにしたって、いまさら名声を落とすような仕事を受ける必要もない。かれらにとってみれば、日本代表の監督になることは、「火中に栗を拾う」ようなものなんじゃないかな。日本代表の実力を見切っているところもあるだろうからね。
N: では、だれがいいと思ってらっしゃたのですか?A: ある段階で、デシャンが候補として追加されるようになってきたんですよ。日本に詳しいフランス人ジャーナリストもデシャンを推薦している、というサイトをどこかで発見したんだ。
N: そのサイトはぼくもみました。デシャンは98年W杯でフランスが優勝したときのキャプテンですね。A: そうそう。ジダンの後方にいたボランチですよ。晩年は「動けなくなった」と批判され、マスコミと口を聞かなくなったりしたんだけれど、考えてみれば、フランス代表の凋落はデシャンの引退から始まったんですよ。ジダンにしたって、デシャンあってのジダンと言ってもいいほど、デシャンの存在は重要だったんじゃないだろうか。
N: デシャンは何をしているんですか?A: よく知らないんだけど、たしかフランスのクラブチームの監督をしているはずだよ。そんなに情報をもっているわけではないけれども、年齢も若いから年俸は高くないだろうし、デシャンなら獲得できるかもしれない。きっといい監督になるだろうって思っていたんだ。ただし、・・・
N: ただし?A: 日本サッカーのことを知らないでしょ。だから、最初の1~2年はオシムにやってもらって、なんとかデシャンにつなぐことはできないか、なんて想像をふくらませていたんだ。
N: あれっ、やっぱりオシムじゃないですか!?A: そうなんだ。Jリーグの監督では、オシムしか浮かばないよ。
N: 岡田や西野ではだめですか?A: 新聞に掲載されているW杯の戦評を読むと、「やっぱり違うな」って思ってしまうんだ。
N: オシム監督はどういう指導者だと思われますか?A: 無名の選手の個性を伸ばすのがうまいでしょ。阿部は元から有名だったけど、村井(現磐田)や巻を育てたのはオシムでしょ。無名の若い選手を鍛えて、Jリーグのトップ3を狙えるチームに育てあげた実績は高く評価すべきですよ。選手個人の集合としてみれば能力の高くないチームを勝てる軍団に飛躍させるためには、強固な組織と卓越した戦略、そして選手全員の運動量が必要です。いまの日本代表に必要なものばかりだよね。
N: 「黄金世代」の次世代のチーム作りには最適の監督ですね。A: そうそう、その通りです。それに4年契約を断った、というところが偉いね。2年契約で2年のオプション付きだと報じられているけど、そのほうが絶対にいいよ。
N: 心配なところはありませんか?A: ストイコビッチが入閣するんじゃないか、と言われていて、マスコミはこれを歓迎するムードなんだけれど、わたしは心配ですね。
N: どうしてですか?A: オシムは高齢でしょ。だから2年後、ストイコビッチに代表監督職を禅定、なんて筋書きにならないか、と心配しているんだ。
N: ピクシーが監督ではまずいですか?A: なんかジーコと似ているでしょ。元ファンタジスタで、大スターだけど、監督の経験はまったくない。
N: なかなかデシャンとつながりませんけど・・・・A: そうなんだな。磐田あたりが監督として招聘してくれないかな。いちど手腕をみてみたいね。弱くなった磐田をデシャンが再興してくれるだけでもありがたいんだが。 (続)
- 2006/06/26(月) 20:54:59|
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ノビタです。
オランダ対ポルトガルの大一番を待ちきれず、ちょっと眠くなってきたので、教授のアドレスにメールを入れたところ、予想通り、起きていらっしゃいました。時間つぶしに総括インタビューを続けさせていただきます。
N: 2002年の日韓W杯では、トルコ戦の敗戦後、「残尿感」という言葉がもてはやされましたね。今回も、朝日新聞の潮智史記者が、02年と同じ「残尿感」が残ったという記事を書いていました。先生は、どう感じておられますか?A: 「残尿感」なんて、まったくないよ。きれいさっぱり、オシッコ切れてますね。だって、02年の日本は今よりあきらかに強いチームだったし、場所はホームだし、いくら強いトルコとはいえ、トルシェの馬鹿げた采配さえなければ、ベスト8に上がれたわけだから、そりゃ尿も残りますよね。悔しくて悔しくて、東京のホテルで泣いて大酒かっくらってたんだから。翌朝、スポーツ新聞を買いあさり、そこでジーコのコラム記事をみつけて胸を打たれた。その記事をスキャンして、大勢の知り合いに添付資料として送信したんだから。
教授室の窓ガラスに貼っていたのは、その記事の拡大コピーさ。
N: 今回はどうなんですか?A: もともとジーコJAPANは弱いことがわかっていて、昨年から予選リーグ1分2敗だと予想してきて、その通りになったんだから、オシッコは残りませんよ。
N: もやもやとした気分はないわけですね。A: 正直言って、オーストラリアに負けると公言していたけれど、負け方があまりにも悪かったので、腹がたったのは事実です。でも、やはりヒディングにやられた、というだけのことでして、あのロスタイムの3点目で、事実上、日本のヴェルトマイスターシャフトは終わってしまった。あとはいくら頑張っても、日本は蚊帳の外の存在でしかなかった。
N: ほんとに、悔しくなかったのですか?A: クロアチア戦のあとも、ブラジル戦のあとも、まったく悔しくなかった。だから、芝生に寝ころんで泣いた中田の気持ちがよくわからなかった、というのが小生の実感です。
N: 非国民って非難されますよ!A: 冗談言わないでよ、明け方までブラジル戦の放送につきあってたんだから。あの後半はみるに忍びなかったよ。ゴールキーパーまで替えられて。
N: 今回のワールドカップは「番狂わせ」が少ないですね。A: 想定外だったのは、チェコの敗退ぐらいだよね。数が少ないから「番狂わせ」なのであって、日韓大会みたいに、アルゼンチンもフランスもポルトガルも予選敗退、スペインやイタリアまでもが韓国に食われる、という状態は「番狂わせ」を超えた異常事態だったわけです。あれで、大会がつまらなくなった。
N: 今回のトーナメントは強豪同士のぶつかり合いが続きますね。これこそワールドカップという展開になってきました。いままでの3試合で印象に残ったチームはありますか?A: メキシコだね。アルゼンチンに対して、ボール・ポゼッションで、まさっていたんじゃないか? 昨年のコンフェデではブラジルに勝ち、アルゼンチンともPK戦までもつれ込んだ。その実力が今回も発揮されていて、延長戦で敗れはしたものの、素晴らしいゲーム運びだった。日本のお手本なんじゃないだろうか。
N: どういうところを日本は学ぶべきなんでしょうか?A: 中盤のプレスだね。ボルヘッティの1トップにして、中盤を厚くし、グループ・ディフェンスでアルゼンチンの中盤の名手たちからボールを簡単に奪ってしまう。体格で劣るメキシコ人たちは、アルゼンチンよりも運動量を多くして、みごとな囲い込み戦術に成功していた。メキシコ人と日本人の体格は変わらないでしょ。
N: 中盤の人数を増やすということは、前線は1トップになるわけですが、日本には1トップをこなせるだけの人材がいないのではありませんか。A: 現状ではたしかにそうだね。ただ、1トップのチームは非常に多かった。オーストラリアのビドゥカ、クロアチアのプルショ、メキシコのボルヘッティなどは高さもあり、ポストプレーも上手い。もちろん得点能力もある。こういう人材が日本にはいない。
N: 今日のイングランドもルーニーの1トップでしたね。A: チェコと同じ4-1-4-1というシステムだったね。驚いたよ。チェコは攻撃的な4-1-4-1だけど、イングランドはあきらかに守備的な陣形でね。いくら怪我人が多いとはいえ、エクアドル相手に、どうしてあそこまで守備的にならなければならないのか理解に苦しむね。エクアドルもメキシコに似たいいチームであるのはたしかですよ。それにしても、イングランドはエクアドルをあれほど恐れる必要はないと思うんだけどね。
N: ベッカムのFKで得た1点を守り切りました。A: 日韓大会でも、守備的なシステムで先取点を守りきる戦法をとったけれど、強豪には通用しないと思うよ。自陣でボールを回されると、ペナルティ・エリア付近でファウルを犯す可能性が高くなるからね。なかなか1-0では逃げ切れない。
N: 日本の場合、現状では、だれを1トップに据えるべきなんでしょうか?A: セレッソの西澤がいちばん適任じゃないだろうか。ポストプレーもうまいし、ヘッドでの得点力もある。しばらくは西澤で行って、巻や平山の成長を待つしかないんじゃないか。まぁ、1トップか2トップかを含めて、そのあたりはオシムがきちんと教育してくれるんじゃないかな。
N: とうとう先生もオシムに言及しましたね。A: ・・・そろそろオランダ対ポルトガルのキックオフだ。じゃぁ、またね。(続)
- 2006/06/26(月) 04:02:15|
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