
今年度から一年半、財団法人住宅総合研究財団の助成により、
「蛋民」の家船居住と陸上がりに関する文化人類学的研究
-中国両広とベトナムを中心に-
という調査研究をおこなうことになった。代表者は、
先月25日の第2回加藤家公開で講演していただいた長沼さんである。「蛋民」の東洋史学的研究で卒論を著した長沼さんを京大人間環境学研究科修士課程で指導し始めた1999年頃から、わたしも水上居民に興味を抱くようになり、日本海沿岸の離島、中国両広(広東・広西)、マレーシア、タイ、カンボジア、ベトナムで調査を続け、その成果を科学研究費基盤研究Cの報告書として公刊した(『東アジア漂海民の家船居住と陸地定住化に関する比較研究』2004)。
今回の助成研究は、その続編に位置づけられ、長沼さんは中国両広、環境大学のメンバーはベトナムの水上居住について調査し、その比較研究を展開しようというものである。とりあえず、9月初旬にわたしと某助教授はベトナムのハロン湾(ハノイに近い世界自然遺産)と古都フエ市の香河でフィールドワークをおこなうことになりそうだ。ハロン湾は「海の桂林」と呼ばれる名勝地。波の穏やかな内海に筏住居と家船の集落がひろがり、その船に住む人びとは漁業を営みながら、遊覧船に漁貝類や土産物を売って生活している。世界自然遺産の景観を彩る点景としても重要な役割を果たしている。
一方、古都フエを貫流する香河には、約2万艘の家船が浮遊する。上流域と下流潟湖の家船居住民は漁業専従、中流域の家船居住者は都市の下層労働に従事する。
この2ヶ所を某助教授と二人で調査しようとしていたのだが、先月25日の加藤家公開にともなう打ち上げの席で2名の学生に参加を呼びかけていた。当日、かれらは躊躇していて、その表情から察する限り、たぶん断ってくるだろうと思っていたのだが、まず3年生の一人が参加の意志を表明し、その情報を聞いた2年生の一人も家族と相談した結果、「参加したい」と言い出した。というわけで、現在のところ、4名でベトナムに乗りこむ見込み。昨夜は、ベトナムの受け入れ機関に詳細な英語の文書を書いて送信した。しんどかった。
調査そのものよりも、準備が大変なんです。
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- 2006/08/01(火) 00:13:06|
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