
先週木曜日のプロ研の時間に、加藤家を視察された市の佐々木さんから、まもなく登録文化財の標識が届くことを告げられた。どうしたものかと思案し、管理人のKさんとも話し合った結果、学生たちにサインボードをデザインしてもらうのがいいのではないか、という結論に達した。わが研究室が得意とする「廃材でつくる」サインボードに標識を飾るのが、加藤家修復プロジェクトに最もふさわしいであろう、とたしかに思う。できれば、オモヤの解体で要らなくなった部材を使うのが最善であろう。

今日は
奈良町(ならまち)に出かけて、登録文化財の標識をどのようにみせているのか、観察してみることにした。まず、思い浮かんだのは墨の老舗「古梅園」(↑椿井町)である。ごらんの通り、外観まで真っ黒な(墨塗り風の)町家なのだが、どこを探しても登録文化財の標識を貼っていない。おまけに店は閉まっていた。墨と言えば、われらが書家HARUNOさんに一つぐらいお土産を買わなきゃいけないかな、などと思いをめぐらしていたのだが、店が閉まっているのだからどうしようもない(おかげで、その代金はワイフのコート代に早変わりしした)。
古梅園から南に下って三条通りにでると、「ぜいたく豆本舗」の本店がただちに視界に飛び込んできた。明治初期の町家で、2年ほど前に登録文化財になったらしい。店に近づくと、招き猫に隠されるように、登録文化財の標識のコピーが外壁に貼り付けてあった。店に入って、標識のことを訪ねると、「あちらです」と言われた。奥のカウンターに飾ってある。
「今はなんでも盗られますからな、外に置いとくと危ないでね」
ここで、きっちり写真を撮り、寸法も測らせていただいた。
長さ30㎝、幅15㎝、厚さ15㎜の銅板製である。なかなか重い。

↑↓ぜいたく豆本舗(いちばん上の写真も)

ここから来た道を南下し、
十輪院をめざした。あの、格調高い鎌倉時代の住宅風仏堂を久しぶりに拝みたい、と思ったのである。その途中で、登録文化財の町家にでくわした。いまは店舗併用ではなく、居住専用になっているようだった。ここでは太い格子の外側に標識を貼り付けている。というか、格子と平行に通した細い2本のワイヤーに引っかけているようだ。やはり本物はいい。町家の意匠とよく似合うデザインだと感心した。
加藤家住宅の場合、まずどこに標識を設置するのかが問題だ。オモヤの壁に貼り付けると、通りから目立ちにくい。かといって、変なサインボードを道路境界に立てても興ざめになる。いちばんいいのは、かつて庭を囲っていた塀を部分的にでも復元して、それに貼り付けることではないか。そうすれば屋敷全体の景観の質も向上し、標識も目につきやすい。しかし、お金がかかるな・・・技術的にも、学生だけでは無理かもしれない。ともかく、まずは学生諸君におもしろいアイデアを出してもらおう。ひょっとしたら、今回のプロ研の最も重要な成果物になるかもしれない。

- 2006/10/22(日) 22:37:32|
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