5月3日のブログに倉吉のアコギストmifuさんからコメントを頂戴している。そこにチェット・アトキンスのことが書いてあった。
チェット・アトキンスか、・・・なるほど。わたしも、お金がないころ(今もないけど)、レンタルCDをテープにダビングして、ある時期よく聞いていたのだが、そのテープを失ってがっくりしたことがあった。で、さっそくネットで注文しておいたんです。そのCDを聞きながら、奈良までドライブして帰ってきたんだ。
いや、楽しい。底抜けにあかるい。チェット・アトキンスのフィンガー・ピッキングはセミ・アコのエレキを使うものだが、カントリーの楽しさを存分に教えてくれる。トミー・エマニュエルとの競演盤“The Day Finger Pickers Took Over The World”を聴きながら、昨日のジャコの言葉を思い出した。ジャコはフロリダでカントリーのバンドに加わっていたことがあり、「
最高に楽しかった」と語っている。チェット・アトキンスのバンドならジャコがやっても十分満足できるだろうし、かりにジャコならどんなベースで応戦するだろうか、なんて考えながら車を走らせていた。レス・ポールとの競演盤もおもしろい。「キャラバン」をレス・ポールが弾くともの悲しいのに、チェット・アトキンスに変わるとやっぱりあかるいんだな。底抜けにあかるいカントリーに変わってしまう。
晴れた日のドライブには最適の音楽だ。mifuさん、ありがとうございます。
高尚な音楽家やリスナーなら、多かれ少なかれ、カントリーには偏見をもっているだろう。日本の演歌系歌謡曲みたいなもので、3つのコード、ワンパターンのメロディで、あんなものは本物の音楽家がやるものではない、なんていう偏見がないとはいえないはずである。しかし、よく考えてみれば、西海岸のフォーク&ロック系のミュージシャンはたいていカントリーを音楽的なベースにしている。CSN&Yの「ティーチ・ユア・チルドレン」、ジェイムズ・テイラーの「カントリー・ロード」(ジョン・デンバーじゃないよ!)、ジャクソン・ブラウン&イーグルスの「テイク・イット・イージー」、そしてニールヤングの「テル・ミー・ホワイ」(ビートルズじゃないよ!)なんか、みんなカントリーに味付けしたものではないか。
イーグルスにしたって、ジョー・ウォルシュを迎えて大ブレイクする『呪われた夜』『ホテル・カリフォルニア』の前は西海岸のカントリーロック・バンドだったんだから。じっさい『呪われた夜』の前作にあたる『オン・ザ・ボーダー』は、ロンドンで録音されたものなんだけれども、カントリーの匂いが強く残っている。わたしはイーグルスの作品のなかでは、この『オン・ザ・ボーダー』がいちばん好きなんだ。やっぱりアメリカの音楽の根っこにあるのは、カントリーとブルースなんだね。この二つを混ぜ合わせ、あとはロックのリズムとジャズの和声をどれくらい染みこませるか(染みこませないか)で、ミュージシャンの座標がだいたい決まってくるんじゃないかな。
さて、曲にカントリーっぽい色彩を与える楽器として、よく使われるのがフィドル(バイオリン)とバンジョー。たとえばジャクソン・ブラウンのバックギタリスト、デビッド・リンドレーはフィドルの名手でもあり、初期のイーグルスはバンジョーを多用していた。
バンジョーの使い方で驚いたのは、ニール・ヤングの「老人 Old Man」という歌。キーがDなんだかFなんだか分からない複雑怪奇なコード進行の曲で、カントリーのフレイバーがまったくしない。ところが、この曲で間奏のリードをとるのがバンジョーなんだね。ふつうありえない組み合わせなんだが、このあたりの不可思議な融合性はジャコに通じる革新性がある、とわたしは勝手に思っている。
ところで、mifuさん。わたしは6月20日に米子で開催されるという
第2回「練習会」に参加させていただくことにしました。われながら自分の行動に呆れているんですが、音楽抜きの余生は考えられません。もう前に進むしかないですね。主催者のみなさんには、極力ご迷惑をかけないよう努めます、もちろん。
mifuさんは参加されないんですか?
- 2007/05/13(日) 02:36:48|
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