FC2ブログ

Lablog

鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

変則チューニング

 レギュラー・チューニング(EADGBE)すらまともに演奏できないのに、変則チューニングまでかじってどうすんだって。われながら、そう思うのではあるが、クラシックやアコースティックのギタリストはこれを相当学んでいますね。たとえば『カデンツア17』に寄せたアンドリュー・ヨークのメッセージを読むと、木村大は「サンバースト」の続編となる曲をヨークに依頼し、ヨークは同じチューニング(Double Drop-D)で「ムーンタン」を書いた、と記している。
 なぜレギュラー以外のチューニングを使うのか。その理由は何なのか?

 先々週購入した『実践 オープンチューニング事典』は、以下のチューニングを分類掲載している。

  1.オープンG系チューニング
   Open-G/Open-Gm/Open-G7
  2.オープンD系チューニング
   Open-D/Open-Dm/Open-DM7/Drop-D/DADGAD/Double Drop-D
  3.オルタネイト・チューニング
   EAEGBC/EADGBC/CGCGCD/CFCFGC/CGDGAD
  4.スラッキーギター・チューニング(略)
  5.その他のチューニング(略)
  6.民族楽器チューニング(略)

 もっとも簡単な変則チューニングは、いわゆるドロップD(DADGBE)で、6弦だけEからDに下げる。DキーだけでなくAキーの曲でもよく使いますね。ルート音に低いDが使えるんだから便利だし、高い位置で4~6弦を弾いている場合、通常は指の届かない6弦のGが5フレット、Fは3フレットまであがってくるので、弾きやすくなる。
 次によく使うのが、オープンD(DADF♯AD)とオープンG(DGDGBD)。これはフォーク・ブルースの常用チューニングで、とくにボトルネック・ギターはこのどちらかで弾くのが一般的。あらゆるオープンチューニングは開放弦がドミナント・コードなんだから、あきらかに利点がありますよね。
 おそらくいまいちばん使われている変則チューニングは「Dモーダル」ではないか。オープンDの3弦をF♯から半音あげてGにすると、音の並びはDADGADとなる。愛称「ダドガッド」。前掲の事典によれば、1960年代にデイビー・グラハムが発明し、それ以降マイケル・ヘッジス、ジミー・ペイジらに愛用されてきた。現在、この使い手として最も有名かつ技巧的なギタリストはピエール・ベンスーザンであろう。
 DADGADは開放弦でDsus4の響きがあり、それだけで十分幻想的(上記3のオルタネイト・チューニングもこれに近い音色らしい)。おまけに開放弦からF♯を排除しているため、Dメジャー・キーにもDマイナー・キーにも対応可能。いちど試してみればよくわかるが、3~5弦はレギュラー・チューニングと同じなので、オープンDとレギュラーの複合チューニングであるとも言える。だから結構使いやすい。

 ところで、わたしは『実践 オープンチューニング事典』に掲載されていない変則チューニングをひとつ知っている。それはDADDAD。音読すれば「ダドダッド」か。こちらは3弦のF♯をDに下げて、DとAだけで開放弦を構成する。
 なぜ、このチューニングを知っているのかというと、CSN&Y(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)のリーダー格であったステファン・スティルスが「4+20」(24歳)という曲で使っていたから。タブ譜をみると、じつに単純な運指なんだが、ソロの弾き語りに使われたオープンD系のチューニングはとても新鮮に聞こえた。単純な運指で、複雑な和声を表現できるところが変則チューニングを使う最大の魅力かもしれない。
 DADDADのようなチューニングは、ペンタトニックの曲にもよく合う。ペンタトニックってわかりませんかね。ド、レ、ミ、ソ、ラの5つの音だけで構成されるスケール(音階)のことです。言い換えると、ファとシが抜けているわけでして、東アジアの民族音楽はたいていこの音階を使っています(沖縄ではド、ミ、ファ、ソ、シでレとラを抜く)。日本の民謡や演歌、あるいはピンクレディやアムロやハマサキアユミのヒット曲もじつはペンタのマイナースケールなんですね。
 とくにペンタの民族音楽をギターで表現しようとする場合、西洋型の3声のコードは必要ないとわたしは思っています。ド、レ、ミ、ソ、ラのうちの2音でコードを弾けば十分。三味線やサンシンのように、メロディと対位する単音フレーズで弾き語りするのがいちばんかもしれませんね。DADGADもペンタの曲に使えます。こちらは、開放弦が不協和音になっているから、民族音楽に幻想的な彩りが添えられます。



  1. 2007/06/19(火) 02:30:06|
  2. 音楽|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:4

asa

05 | 2007/06 | 07
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Archives

Category

Links

Search