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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

11月7日の記者発表について(第1報)

 10月のブログで「垂木」「たるき」「タルキ」とチラリズムを繰り返してきましたが、ようやく昨日から正式に公開してもよいことになりました。
 来たる11月7日(水)午後1時半から、「青谷上寺地遺跡出土建築部材の調査研究で得られた知見について」と題する記者発表をおこないます。報道の解禁は7日の記者発表後ですので、厳守!お願いします。会場は鳥取県埋蔵文化財センター秋里分室です。
 いうまでもなく、昨年11月10日におこなった「弥生時代最長の柱=<楼観>復元」に続く記者発表です。あの衝撃の1日からまる1年が経とうとしているのか、と思うと感無量ですね。
 今年のテーマは、ずばり「弥生時代最長の垂木」です。厳密にいうと、「これまで出土した弥生時代の垂木のうちほぼ完全な形状を残す最長の材」について論じます。これについてはすでに3回映像を示しています。

   8月11日  「チャックの青谷問答記(Ⅰ)」
  10月26日 「第4回 歩け、あるけ、アルケオロジー」
  10月31日 「チラリズム」

 このうちとくに重要なのは8月11日の記事、すなわち「青谷上寺地遺跡出土建築部材検討会」の記録です。今年度は最初から「長い垂木」に目をつけていたわたしの要望にこたえ、県埋文センターは一連の「長い垂木」を陳列してくれました。
 上下両端の加工を残す「最長」の垂木は以下の2点です。

  ・角垂木 長さ397cm×1辺7.5cm四方  
  ・丸垂木 長さ388.5cm×直径6cm

 以上2つの垂木材は同じ溝から出土しました。時期は弥生時代中期後葉(約2000年前)です。青谷上寺地遺跡では屋根の垂木と小舞が複合化した構造材が出土しており、角垂木を桁端(けらば)すなわち屋根の左右両端、丸垂木を他の一般部に使うことが分かっています。したがって、上の2材は一つの建物の別の位置に使われた垂木である可能性が高いでしょう。
 つぎに、茅葺き屋根の標準勾配(45度)からピタゴラスの定理を使って梁間寸法を推算したところ400~430cmになることがあきらかになりました。ところが、その寸法内に納まる梁(410cm)もちゃんと出土しています。さらに長さ約10mの桁を半分にした材も出土していました。これらがすべて同一の建物を構成していたとは限りませんが、それらを複合的に再構成することにより、大型の掘立柱建物の姿がイメージされてきたのです。
 ただし、青谷上寺地では中心居住域の発掘調査が進展していないため、このような大型の建物はいまだみつかっていません。そこで、昨年と同様、大山町の茶畑第1遺跡の建物遺構を参照して平面を仮定しました。モデルとした建物跡は茶畑第1遺跡掘立柱建物12です。掘立柱建物12は桁行6間×梁間4間の本体部分(長棟建物)に、正面のみ独立棟持柱を付した平地土間式の建物です。その梁間寸法は約5mを測ります。今回確認された「最長の垂木」と複合させる梁の寸法は4.1mですから、梁間は約4mになります。この梁間の比率より、今回復元する大型建物の平面は茶畑第1遺跡掘立柱建物12を80%縮小したものと仮定しました。
 また、夏の部材検討会では、精緻な加工表面をもつ角柱が大小2本陳列されており、出席者を驚かせました。掘立柱としての角柱が出土することはめったにありません。今回、この角柱を戸柱として位置づけることにしました。じつは、扉板の上下に納まるマグサ(上面)もしくはケハナシ(下面)と推定される材も確認されるので、戸柱(角柱)との複合性を考察してみたのです。
 さらに、妻壁板の勾配が44~53度とばらつきがあり、遺跡で大量の杉皮が出土していることから、緩い勾配(44度)の杉皮葺きバージョンときつい勾配(52度)の茅葺き勾配の2バージョンを復元することにしました。
 以上の基本方針から、現在、復元CGを制作中です。 

 なお、今回の記者発表は、2007年度の<とっとり「知の財産」活用推進事業>に採択された「山陰地域の弥生時代建築に関する実証的復元研究」の成果の一部をなすものであり、11月31日・12月1日に加藤家住宅で開催されるシンポジウム「弥生建築の実証的復元はどこまで可能か」の主要テーマとなるものです。(続)

 記者の皆様へ: とりあえずこのブログ、およびこのブログのリンク記事をお読みの上、ご質問いただければ幸いです。また、青谷上寺地遺跡出土建築部材データベースもご活用ください。


  1. 2007/11/04(日) 00:36:29|
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asa

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