
連日の雨も止み、昨日は久しぶりのいい天気だった。先日まで紅葉で彩られていた山々もすっかり葉を落とし、冬の到来を感じさせる。本格的な修復プロジェクトが始まって2度目の冬を迎える加藤家は、修復工事前に比べると屋内がほんのり暖かい。
本日、待望の工事がおこなわれた。ロフトに上がるための仮設階段の設置工事である。
11月14日に、加藤家住宅で業者さんと「ロフトに上がるための階段」について、現場下見を兼ね、組立案を検討した。ご存知とは思うが、現在ロフト(アトリエ)に上がるための手段は連結ハシゴ1本のみである。女性だけでなく、男性でも上り下りには肝を冷やす。このままではせっかくのアトリエも活用しにくい。今年度は早くから仮設階段を取り付けることを企画しはじめ、木推協(中部)のKさんに設計と見積もりを依頼していたのだが、今日ようやく施工の運びとなった。
仮設階段は「クサビ緊結型足場」の応用である。鉄製の支柱(縦棒)に手摺り(横棒)を取り付け、両端にクサビを打ち込んで固定するタイプ。手軽に組み立てることができ、解体も容易であり、教授の持論である「リバーシブル」な修復・補強を実践できる。いつでも元の土間の状態に戻すことができるのである。木製の常設階段ではなく、仮設の単管足場を利用したのはこのためで、さらに「古材」と「新材」の識別を容易にするためでもある。

以下、本日の作業工程。まず、足場を組む位置の地盤を養生し、その上に「ジャッキ」と呼ばれる足を6本置く。このジャッキにはネジ状のミゾが付いており、高さを自由に変えることができる。今回は土間と台所の板の間を足場がまたぐため、ジャッキで段差と水平を調節する。その上に支柱を立て、手摺りをクサビで固定していく。この支柱には約45cmおきに「ツバ」という正方形の止め具が施してあり、手摺りには両端にクサビがぶら下がっている。支柱のツバ部分の穴と手摺り端部の穴とを合わせ、クサビをハンマーで打ち込んで固定していく。その後「布板」と呼ばれる板状の材を手摺りに渡し、アルミ製の階段を掛けていく。

足場が1段、2段と組まれ、最後の3段目に取り掛かろうとした時、作業が一時中断した。なんと「踊り場」側の支柱のツバが梁にあたってしまい、これ以上組み立てることができなくなってしまった。古民家の梁は大断面で、ところどころに膨らみがあり太さが一定ではない。何度か組み立てた足場を解体しては位置をずらし組み立てなおすのだが、どうしてもツバが梁にぶつかってしまう。ほんの2~3cmなのだが、無理に組み立てれば、梁を傷めることになる。
足場屋さんもこのことは十分承知していて、次々と打開策が挙げられ、臨機応変に対応していく。職人さんのこの機敏な動きには、毎度憧れてしまう。最終的にツバを工場でカットして梁への接触を避けることとなり、完成は次回となった。
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- 2007/12/18(火) 00:07:04|
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