
ブギス寺院からキンタマーニ火山まで、車は斜路をうねりながら下りたり上ったりした。雨はどんどん強くなっていく。それでも、バトル湾とバトル山を望むビューポイントにたどり着いたときには、うっすらとではあるけれども、まだ山影と湖面を覗うことができた。
1996年、わたしは初めてカラオケで「金太の大冒険」を聞いた。修士課程に進学したばかりの女子学生がてらいもなく歌う姿に抱腹絶倒し、以後、恥知らずにも、自らのレパートリーに取り入れたのであった。鳥取に移ってからも、2期生の「北から来たの」さんや西河♀さんの前で歌うとバカ受けして気を良くしていたのだが、3期生の歓迎会でやったら大すべり。モリさんやアッコさんは困ったような顔をして、しばらく沈黙の時が流れた。
バリ島が世界に誇る火山は「金太の大冒険」のネタにはなっていない。なってもよいはずなのに、なっていないのはキンタマーニという火山の名前があまり知られていないのと、名があまりに直截すぎるからであろう。じつはキンタマーニという地名は、火山の名ではない。運転手の言に従うならば、それは村の名前であるという。山の名はバトルという。バトルは巨大なクレーターをもつ活火山で、その噴火によってバトル湖が生まれた。バトル山頂の標高は1745m。大山とほぼ変わらない。ただし、バトル山はバリ島の最高峰ではなく、その東方に聳えるアグン山(標高3142m)が最高峰で、こちらは富士山には劣るが北岳クラスの高峰である。バリ・ヒンドゥ総本山のブギス寺院はアグン山の中腹に境内を構えている。
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- 2008/03/10(月) 21:26:01|
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