日曜日の昼下がりと言えば、10チャンネルがわが家の定番で、まず「週間えみぃSHOW」の芸能ネタで笑い、「たかじんのそこまで言って委員会」で
ネオコン系知識人たちの弁舌に呆れ、その続きは「ミナミの帝王」だが、これは見たり見なかったり・・・今週はミナミの途中で家内と娘が買い物にでかけたので一人になった。わたしはミナミをつけっぱなしにした状態で、昨日のブログを書き始めた。あんな記事でも結構時間がかかるんですよ。「ミナミの帝王」が終わっても、まだ推敲を続けていた。すると、4時半から、民放らしからぬ番組が始まり、わたしは推敲の手を休め、その映像に吸い込まれていった。そして、ほとんど1時間のあいだ涙がとまらなくなった。
その番組は、
「山で最期を迎えたい -ある夫婦の桃源郷」
というドキュメンタリである。山口放送が山で自給自足の生活を営む老夫婦の歩みを17年間にわたって追跡した作品で、今年度の日本放送文化大賞(テレビ部門グランプリ)を受賞している。
言葉にならない。
この番組のストーリーがどのようなもので、何に感動したのか、それを書き始めたならば、おそらく数回にわたって連載しなければならないだろうし、たとえそうしたとしても、この作品の本質を読者に伝達することはできないだろう・・・
山口県の山間部、電気も水道もない山奥の小屋で自給自足の生活を送る老夫婦。まわりに集落はない。かつて一家で開墾した平地に、バラックのようなトタン葺きの一軒家と畑があるだけ。3人の娘は関西に家を構えている。娘たちは、両親に「いつでも山を降りておいでよ」と声をかけるのだが、二人は「子どもに迷惑をかける」からと言って山を動かない。なにより、山が好きで仕方ない・・・そんな老夫婦にも時間は容赦しない。おじいさんは癌を患い、おばあさんを認知症が蝕んでいく。それでも、体調が上向けば、二人は施設や病院をでて必ず山に帰っていくのだ。
そして、三女夫妻が山の麓に新居を構える・・・
やはり、これ以上書けない。わたしはこの番組をみながら、昨年亡くなった父のこと、認知症に犯されつつある母のこと、鳥取の山間部で二人暮らしする妻の両親のこと、右半身が麻痺している妻の老後のこと、そして板井原などの「限界集落」で接してきたお年寄りたちのことをずっと思い浮かべていた。そして、思った。
自分は堕落している。
なんとか映像を入手したい。家族と学生にどうしてもみせたいのだ。並みの映画では、このドキュメンタリにとても太刀打ちできない。ふと黒澤明の「デルス・ウザーラ」が頭をかすめたが、黒澤のこの傑作をもってしても、「山で最期を迎えたい」には及ばないだろう。もちろんネットを徘徊した。番組専用の
サイトがあり、そこに全国各地のテレビ局の放送予定が示されているが、残念なことに、1月25日が放送の最終日であった。
読者のみなさん、「山で最期を迎えたい」の録画をお持ちの方はいらっしゃいませんか。もしお持ちでしたら、ぜひともご連絡ください。わたしは、どうしても、どうしても、この番組を家族と学生にみせたいのです。どうかよろしくお願いいたします。
- 2009/01/27(火) 00:44:59|
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