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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

隠岐出雲巡礼(Ⅳ)

20国賀海岸01カメラマン


国賀海岸の風景に酔う

 8月5日10時55分、西ノ島の浦郷港から国賀海岸めぐりの遊覧船に乗船し、1時間半の船旅がスタートしました。幅12メートル、長さ335メートルの「船引運河」を通って中ノ島、西ノ島、知夫里島に囲まれた内海から外海へ。

 国賀海岸は隠岐島前西ノ島の北西海岸で、約10㎞にわたって海食崖や海食洞が連続し、隠岐を代表する景勝地です。全体に黒っぽい印象を受ける岩肌が多いですが、部分的に白灰色の岩層や鉄分を含む赤色の岩層なども含み、リアス式海岸の景観にアクセントをつけています。国賀海岸は昭和13年には国の名勝天然記念物に指定され、昭和38年には大山隠岐国立公園に指定されています。
 もともと島前の3島(西ノ島、中ノ島、知夫里島)は、西ノ島の焼火山(たくひざん)を中心とする火山群で、焼火山を囲む山々と中ノ島、知夫里島を外輪山とした、カルデラ火山だと考えられています。熊本の阿蘇山とその外輪山が、頂部の火口をのこして海に沈んだような地形です。焼火山は中性火山岩(粗面岩)の火砕岩類からなる火砕丘で、国賀海岸を含む外輪山は塩基性~中性の火山岩(粗面玄武岩・粗面安山岩などの火砕岩)や溶岩からなっています。

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 船引運河を抜けて北を望むと、真正面に雄大な日本海の水平線。右手には西ノ島北部の断崖、左手にはこれから向かう国賀海岸へ続く断崖がひろがっています。そこからさらに20分ほど進むと、国賀海岸の中心「摩天崖(まてんがい)↑」が姿をあらわします。高さ約260メートルの断崖で、粗面玄武岩や粗面安山岩の溶岩が何層も重なったものが、浸食や岩盤の崩落・崩壊を繰り返すことで、岩盤の中の固い部分が突出してデコボコした岩肌があらわれています。
 摩天崖の南西の海岸部には波食洞が連続しており、「通天橋」(↓)もここにあります。通天橋は巨大な岩のアーチ型架橋のようになっています。以前は船で下を通れたそうですが、約90年前に上の岩盤が崩落したため、現在は叶いません。通天橋は摩天崖と比べて赤っぽく見えます。鉄分を多く含む岩が酸化することでこのような色になったようです。

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 この日は天気がよく、海も穏やかだったため、条件が良い日しか通れないという「明暗の岩屋(あけくれのいわや)」にも入りました。遊覧船が通れるぎりぎりの幅の狭い洞窟で、しかも、内部でくの字に曲がっているため、中ほどまで進んでライトを消すと真っ暗になりました。どのようにこの洞窟が形成されたのか、自然の造形は驚くことばかりだと感じました。
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 国賀海岸にはこのほかにも多くの奇岩、岩礁、洞窟、断崖があります。大きな岩が風と波で削られた「鬼ヶ城」。黒い岩肌の中に白い岩肌があって刻まれた豆腐のように見える「豆腐岩」。観音様のようにもローソクのようにも見える「観音岩」。洞窟をくぐった正面に白い岩肌が滝のように見える「滝見の岩屋」。驚くほど変化に富んだ海岸線が続いています。一方、断崖絶壁の上をみてみると、なだらかな牧草地となっており、その穏やかさは岩壁とは対照的です。牛馬が放牧され、遊歩道も整備されており、「遊歩百選」に選定されています。次に島前を訪れるさいは、ゆっくり遊歩道を歩いて国賀海岸の景色を堪能したいですね。

 余談ですが、ガード君は前日のフェリーからずっと船酔い状態が続いており、国賀海岸遊覧でそれはピークに達してしまいました。他の乗船客は全員、立ち上がって競うようにデジカメのシャッターを切り続けているのに、ガードくんは船室のソファ椅子に横たわったまま・・・・わたしたちは国賀海岸の風景に酔いしれ、ガード君だけ船酔いに苦しんだ1時間半でした。

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  1. 2009/08/12(水) 13:27:07|
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