
8月27日(木)午後1時から、加藤家住宅で
第1回公開ワークショップ(左官工程)が開催されました。天候のぐずついた今夏の山陰でしたが、この日は朝から快晴。
学生たちはこのイベントのためにまる3日かけて会場設営に奔走し、この日も朝9時に集合して準備を続け、開会を待ちました。午前中に左官のSさんから学生は壁塗りの基本を学びました。まずはコテで反対側の塗り土を軽く掻き落とし、土置き台を小舞に押しつけながらコテに土を盛って小舞になでつけ平らに塗り重ねていく。言葉でいうのは簡単ですが、実践するのはなかなか難しい。わたしは駄目でした。下手くそです。が、学生たちはなかなか上手い。筋が良いと誉められてましたね。
いちばん難しい技術は「貫伏せ」です(↓)。柱をつらぬく貫(ぬき)の位置で壁厚がうすくなるため、そこに藁束をうすく貼り付け、その上からまた壁土を塗りつけるのです。Sさんの実演指導をみていて、なんと綺麗に納めるものだ、と感心し、同時にわたしには無理だと思ったのですが、やはり学生たちは難なくこなしていきました。

そうこうしているうちに開会の時間を迎えました。県市の文化財関係者がたくさんかけつけてくれましたし、遠くは埼玉のホカノ君、京都の山田先生やオカム君、出雲のIさんなどが続々と会場入りするのをみているだけで、心が躍っていきましたね。
縁のまえの杉苔の庭で、簡単な挨拶をした後、2班に分かれて活動開始。1班は外で足踏み土練り作業。いまは耕耘機やタンクローリーなどで土を練るのが当たり前になっているそうですが、わたしたちは足踏み土練りにこだわり続けてきました。1ヶ月前の新旧壁土混合時には
長靴を履いて土を踏みました。それは藁がまだ硬くて、素足を傷つける危険性があったからです。あれから1ヶ月以上たって、藁はすっかり土に馴染み、異臭を放つこともなくなっています。素足で練り土を踏みつけると、土の粘性が肌で感じられる。「このヌメリ感が病みつきになるで」と池田社長に言われ、午前中にさっそくわたしもやってみたのですが、たしかに気持ちいい。足だけはなくて、首までどっぷり浸かりたいと心底思いましたよ(それで少しは腹がへっこむかもしれない??)。
大きなもんじゃ焼きのような泥土のなかに次から次へと来場者が入っていく。いちばん長く泥のなかにいたのはホカノ君でした。かれは少年のような無邪気さを取り戻しており、大きな声をはりあげて、
「やっぱり、鳥取はいいですね!」
恥ずかしながら、ジ~ンときてしまいましたね。かれも楽しそうだが、わたしも嬉しい。感謝の気持ちがふつふつとわき上がってきました・・・

屋内では、もう一つの班が壁塗りを始めていました。来場者は計40名で、そのうち壁塗りを体験したのは30名前後でしたが、一人が塗る面積はたいしたことないので、妻壁の内側すべてを塗りきることはできないだろうから、壁塗り体験のあと、いったん塗土を剥がし、後日塗り直しをしようと思っていました。ところがところが、・・・・一般来場者の方はどんどん塗っていくし、それを受け継いだ学生とゼミのOBたちはさらに凄い勢いで壁塗りを続け、夕方までに妻壁内側の壁塗りをほぼ終えてしまったのです。
27日はイベントに徹して、実務は別の日に2日間おこなうことに決めていたのですが、イベントのその日に実務1日分の仕事をこなしたことで、残る左官工程は1日で済むことになり、経費の面では大助かりです。
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- 2009/08/29(土) 02:25:53|
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