渾源の懸空寺 3日目(9月3日)は、まず山西省渾源の
懸空寺を訪れました。三仏寺投入堂とよく似た懸造(中国では「吊脚楼」と呼びます)の建物としてよく知られており、LABLOGでも一度登場したことがあります。黄土高原の広大な平地を眺めつつバスに揺られていると、歴代王朝の挙行する山岳祭祀の対象として最高位の「五岳」のひとつに数えられる北嶽・恒山が眼前にあらわれました。絶壁にもたせ掛けるように建てられた懸空寺を発見して一同大興奮です。
懸空寺は北魏後期に創建されましたが、何度か修復・拡張されており、現存している建物は清の時代以降のものだそうです。たしかに、建築様式の細部をみると、北京の故宮に似ているような気がします。入口(山門)付近には安全の守り神を祭る石造の祠があるのですが、教授は「これは木造建築よりも古いものかもしれない」と注意深く観察し、何か引っかかるものがあるようでした。

懸空寺でともかく驚いたのは、複数の楼閣がただ板を並べただけの狭い通路で繋がっていて、気を付けながら歩かないと崖下に落っこちそうになるほどスリル満点でした。縁の下には、細い柱がたくさん並んでいるのですが、実は荷重をあまり受けていなくて飾りみたいなものだと聞き、柱を少し触れてみるとゆらゆらと揺さぶられたのには本当にヒヤヒヤしました。それでは、どうやって建物を支えているのか。階ごとに岩壁に差し込まれた梁によって荷重を支えたり、バランスをとっているのです。これには驚くほかありません。
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- 2009/09/07(月) 10:03:54|
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