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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

奈良の史跡から新年のご挨拶

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 新年あけましておめでとうございます。
 お久しぶりのアシガルです。今年もよろしくお願いいたします。

 新春、大和の初詣のお知らせといきたいとろこですが、今日は年末の活動レポートです。じつは卒業制作「鳥取城三の丸高等学校」が思うように進まないので、先生から「史跡整備」を学んだほうが良いというアドバイスを受けました。ちょうど部長さんが12月17~18日、奈文研で開催された「第2回文化的景観研究集会」に出席されるのに同行することにして、特別史跡「平城宮跡」(世界文化遺産)ほかいくつかの史跡・建造物を見学してきました。先生のお膝元で恥ずかしい限りですが、ここに報告させていただきます。

平城宮跡

 研究集会の会場の隣に奈良文化財研究所があり、道路をはさんで平城宮跡があります。初日は平城宮をしらみつぶしに歩いて視察しようと決めていました。平城宮跡は平城京の中央北よりにあり、その平面形は東西・南北の約1kmの方形の東辺北約750m部分がさらに東約300mほどの張り出した「東院」となっています。正門の朱雀門をはじめ12の門があります。
 平城宮跡の内部には、政治や儀式を行う大極殿・朝堂院ブロックが2か所、中央と東に並列しています。朱雀門を入ったところに第一次大極殿と4堂からなる朝堂院があり、東の壬生門の北側には第二次大極殿と12堂からなる朝堂院があります。また、第二次大極殿の北側には天皇の住まい「内裏」があります。その他に役所の日常業務をおこなう曹司、宴会などをおこなう庭園などがあり、さまざまな手法で遺跡整備がなされ、野外博物館として整備が進んでいます。
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13時から研究集会がスタート。会場で部長さんと別れて西側の佐伯門から平城宮入っていきました。まず、視界に入るのが第一次大極殿です。復元工事をほぼ完了させた大極殿ではありますが、周りには工事用のフェンスが張られていて中には入れません。大極殿近くの芝生ではおじ様方がサッカーに燃えていました。このような場所でのサッカーはさぞ気持ちのよいことでしょう。
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大極殿の南側には、第一次朝堂院跡、さらに南には復元された朱雀門が建っています。朱雀門、朝堂院、大極殿は南北の軸線上に並んでいます。朝堂院4堂跡の基壇を復元し、内側は芝生を植えるだけで周りの景観に配慮した整備をおこない、自由に散策できるようになっています。この日、奈良は快晴で気持ちのよい青空だったのですが、平城宮跡はなにぶん広大な史跡公園ですから、強風をさえぎる建物はありません。さらに、盆地の影響で風が冷たく体力を奪われました。
 しかし、そんな弱音は言っていられません。寒中サッカーに燃えるおじ様方だっているのに!!フードをかぶりなおして散策を再開しました。 第一次大極殿を通り過ぎた先に第二次大極殿跡があります。第二次大極殿とその周辺にある礎石建物は、基壇、礎石(レプリカ)の復元整備ですが、かつてあった建物の想像力をかきたてます。南側には第二次朝堂院跡、北側には内裏跡があります。第二次朝堂院跡は第一次朝堂院跡と同じ遺跡整備をしています。
内裏跡では、円柱状に刈りあげたツゲの植木で柱位置を表示しています。礎石建物ではなく、掘立柱建物であったことをツゲの植栽で示しているのです。聞くところによると、ヨーロッパ庭園の影響を受けた整備手法だそうです。この植栽により史跡公園としての価値がより一層高まっていると思います。
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そのあと、内裏跡東側の遺構展示館(覆屋)に足をのばしたのですが、展示館はフェンスで囲まれており、なにやら工事をしている模様。近くにあった看板を見ると「資料館、遺構展示館は改修工事にともない閉鎖中」とのこと。残念でしかたありません。この遺
 構展示館では、実際に遺構を見学できる施設なのでどうしても見学したかったのですが、こればかりはしかたがないので、南東にある東院庭園へ向かいました。東院庭園は、東西80m、南北100mの敷地の中央に複雑な形の汀線をもつ州浜敷の池を設け、池の北東方や中央に主要な建物を配しています。庭園地形の復元整備では、地下に残る遺構を傷つけないように盛土による保護を原則としています。遺構の真上に復元建物や築地塀を建設する場合、40cmほど盛土をして整備地盤面としています。池の部分では奈良時代の州浜を再現し地形そのものが遺跡であることから、影石や州浜石敷に遺構そのものを見せる整備を行なうために砂と不織布で覆い、遺構と類似した小石を敷き詰めています。

 また、南東に位置する西建物は、東院南門と玉殿をつなぐ「控の間」で庭園とは関係のない施設ですが、駐車場から庭園内に導入するためのエントランス及び管理施設として利用されています。この建物は現代的機能もみたすように、構造体を古代建築として復元しつつも、内部には鉄骨やガラスなどの新建材を使い、復元部分と現代的機能が区別できるようになっています。
 東院庭園内を後にして最後に朱雀門を視察し、スタート地点の佐伯門へ戻った頃には研究集会が終わる時間になり、会場へと戻り、初日の視察を終えました。

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  1. 2010/01/03(日) 00:00:33|
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