
去る連休の中日、levanteさんに修理を依頼していたパール社(林楽器)のダイナミック・ギターが届いた。梱包をあけると、
修復を終えたVANギターがあらわれた。さっそくギターを手にする。なんとも軽い。しかし、ボディがしっかりしている。摩耗したフレットが新品になり、指盤の塗装も見事な黒で、ナットの凸凹もなくなっている。解体修理によって、ギターは当初の輝きと機能を取り戻した。この修理はたんなる「復原」ではない。ボディの内側にはブレーシングの構造補強がなされている。
チューニングをスタンダード(EADGBE)にセットした。修理前は金属弦を張るのが怖いほどよれよれだったから、全弦1音下げのDGCFADにして張力の負荷を弱めていたのだが、このボディならスタンダードでも大丈夫だろう。
音がよく鳴る。その鳴り方は尋常ではない。エコーがかかっているような響きがする。家内が目をまるくしてギターを聴いているのだ。そして、「これ、どうしたの、どういうギターなの?」と問いかけてくる。「
千円の中古ギターを六弦倶楽部の友人に修理してもらったんだ」と答えると、さらに驚いた顔をした。彼女のお気に入り?は「
火の鳥」。高校~大学のころに聴いた
「火の鳥」とは別の曲のように聞こえる、と驚嘆しつつ、目を点にして演奏を聴き続けている。というか、不思議な音を奏でるギターをみつめていた。普段なら「あぁ、またギターの練習・・・」という白けた顔をするのに、この日ばかりは様子がちがっていた。
じつは、このギターにあわせてアレンジを変えていて、かつて6弦と12弦の二重録音で表現した雰囲気にVANギター1本で迫ろうとしている。それが可能な響きのするギターだということ。これなら十分人前で弾ける。人を惹きつけるだけの音を出すギターとなって戻ってきた。すべて、levanteさんのおかげです。ほんとうにありがとうございました! オーセンティックな修復で、しかもローコストのリサイクル。われわれがめざす理想の「建築修復」をlevanteさんはギターで実践してくださいました。感謝にたえません。
ところで、そのギターをつま弾くつけ爪ですが、下の写真をご覧ください。人工の爪がいかに憐れな末路を辿るのかよく分かるでしょう(
元の状態と見比べてください)。親指のつけ爪はすべて剥がれてしまっています。他の3本は割れていて、まもなく剥がれてしまうでしょう。やはり、できるだけ自然の爪を使うのがよいと思います。演奏会の直前に割れた爪は「つけ爪」にするしかない。その場合でも、爪の厚さはできるだけ薄くしましょう。鳥取でつけてもらった人差指と中指の爪はやや厚すぎました。とくにナイロン弦は良い音がでません。ご参考までに。
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- 2010/01/17(日) 00:02:26|
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