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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

実績報告(Ⅵ)-とっとり「知の財産」活用推進事業2009

 年度末でして、毎日たくさん書類を書き、会計の整理をしております。なんか、ほんと滅茶苦茶な状態なんですが、とりあえず「実績報告」シリーズの2009年度第1弾はとっとり「知の財産」活用推進事業から。あ~ぁ、あと何本書くのかな・・・

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2009年度とっとり「知の財産」活用推進事業

研究題目 「セルフビルド&ゼロエミッションによる古民家の持続的修復」
       【事業経費】 999千円

 2006~07年度に県・市等からの研究助成・事業助成を受けて加藤家住宅の修復プロジェクトが始まった。2009年度はほとんど手つかずの状態になっていた内装工事を、一般市民・学生がボランティアでおこなう部分と職人に任せる部分に役割分担し、修復を進めた。日々の修復活動こそが民家の「活用」「管理」であり、とりわけ市民公開の修復ワークショップを開催することで、修復への市民参加と民家の活用を促し、文化財建造物に対する愛着を深めることをめざした。修復活動では以下の4点をとくに重視している。

  (Ⅰ)ローコスト修復とセルフビルド  (Ⅱ)材料のオーセンティシティの維持
  (Ⅲ)材料のリユース&リサイクル  (Ⅳ)一般人と職人の役割分担と交流

 今年度おこなった活動は「石造カマドの復原」「小舞壁の土塗り」「建具の再設置」「軸部の構造補強」「発掘調査に基づく裏木戸の復原」の5工程で、とくに重要な位置を占めるのは「建具の再設置」と「軸部の構造補強」である。2006年に柱を一本一本ジャッキアップし、根継・土台の差し替え・柱の傾斜矯正・土台の差し替えなどをおこなった結果、敷居-鴨居の内法寸法が伸び縮みし、建具寸法とあわなくなった。このため、建具の框に打物をしたり、框を削ったりして敷居-鴨居内に納まるよう修正した。このような不具合の根幹にあるのは、建物全体が半時計まわりに回転する「癖」である。その癖は2006年修理前から認められていたが、軸部矯正後に座敷側で再発していることが判明。この回転に抵抗するため、納戸に構造用合板を用いて箱状の構造体を設けた。背面側とはいえ、合板による構造補強部分は無粋であり、縁の廊下側から補強がみえないよう配慮した。西側は現状の4枚障子の内側に半柱を立てて内側に納め、障子をあけると押入状の収納スペースを使えるようにした。南側の合板は鴨居・敷居を縁側に出すことで補強前と同じ外観を継承するようにした。この合板を用いた安価な補強によって回転癖が抑制されることに期待している。

 現在は加藤家住宅の修復活動4年間の成果を整理し、ローコスト修復のエッセンスをまとめた『古民家ローコスト修復ハンディマニュアル』(B6版24頁2色刷)を印刷・校正中。どこにでも持ち歩けるポケット・サイズで、イラストを多用した一般向けのマニュアルである。マニュアルの留意点は、①文化財としてのオーセンティシティを維持するということはどういうことなのか、②オーセンティシティを維持しながら、民家をローコストで修復するにはどのような方法があるのか、③プロの職人とアマチュアの役割分担をどうすべきなのか、の3点。刊行後は、関係諸機関や古民家所有者に無料配布する。また、pdf形式でのネットからの配信もおこなう。こうすることによって、県内過疎地での古民家修復に悩んでいる方々を支援し、また地方にIターン・Jターンして「田舎暮らし」を始めようとしている方々に刺激を与えたい。

  1. 2010/03/14(日) 00:00:53|
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