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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

実績報告(Ⅷ)-2009年度鳥取県環境学術研究費助成研究

 2009年度「実績報告」シリーズの第3弾をお届けします。


鳥取県環境学術研究振興事業費補助金研究(課題番号B0807)

  文化的景観」の解釈と応用による地域保全手法の検討
   -伝統的建造物群および史跡・名勝・天然記念物との相補性をめぐって-(Ⅱ)

 2004年度の文化財保護法改正によって、日本の文化財保護にもようやく「文化的景観」の概念が導入された。本研究では初年度(2008)に「限界集落と文化的景観」「中世山城・城下町と文化的景観」の2テーマを設定し、調査研究を進めた。前者は智頭町の板井原集落(県伝統的建造物群保存地区)、後者は若桜町の鬼ヶ城(国史跡)と城下町地区を対象に地域保全のあり方を提案した。2年度(2009)は、「限界集落と文化的景観」の調査研究を継続しながら、「山岳信仰と文化的景観」のテーマを新たに進める計画を立てていたが、後者が世界遺産申請と関わる大きな課題となったため、前者についての研究は進展していない。一方、「山岳信仰と文化的景観」課題については、鳥取県がここ数年進めている「三徳山世界遺産暫定リスト登録」の問題点をえぐりだすため、三徳山だけでなく山陰の密教系諸山に残る文化遺産と景観をひろく対象にすべく、隠岐・出雲・伯耆・因幡各地で円仁再興伝承をもつ寺院や岩窟・絶壁型仏堂を訪れ、その遺産と景観の価値について検討した。また、円仁が密教を学んだ五台山を中心に中国山西省の古代仏教建築を歴訪し(海外旅費は県研究費では認められていないので、個人研究費・私費によった)、日本との関係について考察を加えた。その成果を2010年2月27日の国際シンポジウム「大山・隠岐・三徳山 ―山岳信仰と文化的景観―」で討議した。
 残念なことではあるけれども、2007年に鳥取県が暫定リスト入りを目指して申請した「三徳山 -信仰の山と文化的景観-」はカテゴリーⅡという低い評価にとどまった。このままでは世界遺産暫定リスト入は絶望的な状態であり、世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」との差別化、複数の自治体を巻き込んだ主題と資産構成の再検討を文化庁より要望されている。そこで、わたしたちは大山隠岐国立公園に注目した。国立公園は自然公園というよりも、複合遺産としての性格が強く、内部に豊富な文化資産・文化的景観を含んでいる。三徳山と大山隠岐国立公園を包括エリアを対象にして、8世紀以前の初期仏教(雑密)遺産を対象とすることで文化庁の要求をクリアできる。以上を上記国際シンポジウムで発表・討議した。鳥取県環境学術研究費による当該研究は終了したが、2年めの「山岳信仰と文化的景観」は今後も調査研究を続けることで鳥取県の世界遺産登録に貢献できると考えている。幸い、「石窟寺院の憧憬―岩窟・絶壁型仏堂の類型と源流に関する比較研究―」が学術振興会の科学研究費(H22-24)に採択されたので、持続的な研究を進めていきたい。

  1. 2010/04/08(木) 12:47:43|
  2. 研究室|
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asa

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