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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(ⅩⅩ)

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ひろがる下層基壇

 8月27日(金)。この日から下層遺構の検出が本格化しました。午前は、残っているD区レベル測量と併行してA区とB区の両方でL字トレンチを掘り下げていきます。B区の担当は轟、A区の担当はナオキさんです。また、B区の長形大土抗でも、いよいよ五輪塔の取り上げをエアポートさんが始めました(↓)。五輪塔については、上層のタタキを切り込む土抗に廃棄されたものだけでなく、タタキにくい込んでいるものもあります。前者は上層建物の廃絶にともなう遺物であり、後者は上層建物の竣工にともなう遺物です。五輪塔の編年をおさえることができれば、上層建物の竣工/廃絶年代を知ることができるわけです。
 B区のL字トレンチでは、前回発見された礎石ホゾ穴の周辺を精査し、下層基壇の凝灰岩石敷列の延長を確認していきました。ところが、A区に向かって伸びていた凝灰岩がホゾ穴から30cmほど掘り進めると突如、途絶えてしまいました。基壇範囲は、どう考えても、もっとひろいはずですが、ともかくこの位置でいったん凝灰岩石敷が消えるのです。
 午後からは五輪塔の取り上げを終えたエアポートさんがB区のL字トレンチの北端を掘り始めました。この辺りは木の根が網の目のように張っており、掘り進むのに苦労されていたようでした。
 一方、D区のレベル測量ですが、3人がかりでやっているわりにはなかなか進みません。だれもが、レベルは午前中で終わり、ただちに下層遺構検出に加わってもらえると期待していたにも拘わらず、いつまで待っても測量に3人の員数をとられている状態が変わらず・・・とうとう先生の激がとびます。14時過ぎにやっとレベル測量が完了し、全員が遺構検出の作業に専念できる体制となりました。

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 A区のL字トレンチを担当していたナオキさんは、先生の指示に従って、タタキ面を約5センチずつ掘り下げていきました。5センチさげて遺構がみえないと、また5センチ下げて下の平坦な面をみます。あれよあれよというまに20センチほど掘り下げていき、凝灰岩まじりの層(上層タタキの一番下か下層基壇の最上層)に辿り着きました。先生によると、ナオキさんは道具の使い方、体の使い方がいちばん上手いそうです。私はといえば、午前中にマンジュウの使い方を先生に指導されました。ナオキさんを見習わければなりませんね。
 16時を過ぎたころ、先生が轟担当の掘り下げ部分から再び凝灰岩石敷列(↓)を検出しました。途切れていた凝灰岩から1mほど東に大きな凝灰岩の塊がみつかったのです。黄色みの強い石で、目地をはっきり確認できます。どうやら途切れていた部分は後世の攪乱なんですね。ここで遺構検出していた轟が発見できなかったことは悔しい限りです。この凝灰岩を南北グリッドと比較してみると、目地の方向は国土座標系グリッドから約45度ふれていて、昨日発見されたホゾ穴の方位と一致しています。下層基壇は岩陰仏堂との平行関係を重視し、北東-南西の方位を軸としていた可能性が高まってきました。上層はあきらかに東西南北の方位に従っているので、これはまた大きな発見と言えるでしょう。
 この日、おおきな凝灰岩の発見はこの部分だけでしたが、周辺には凝灰岩の破片が散乱しており、部長さんが担当するC区の一部でも先生が試し掘りしたところ、やはり凝灰岩が伸びてきています。また、すでに述べたように、ナオキさんが掘り下げた最下層にも凝灰岩の粒がたくさん含まれています。さて、この凝灰岩石敷はどこまでひろがるのか?
 この時点で、重要なカギを握っているのは、いうまでもなく、轟の担当箇所です。先生が検出された凝灰岩がどこまで伸びているか、そして、下層建物の竣工年代を特定する遺物を発見できるかどうか・・・この日、先生は畦でも上層の礎石を一つ発見されました。学生が見逃しているものを次々と見つけていきます。学生も負けてはいられません。一体誰が決定的な遺物を発見するのか、乞うご期待! (轟)

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↑新たな凝灰岩(左)と上層の礎石(右)。下層基壇面と上層基壇面のレベル差がよく分かる。

  1. 2010/08/30(月) 00:08:30|
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asa

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