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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅤ)

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赤と黒のベタ基礎??

 11月8日(月)。昨日Ⅰ区で始まった下層遺構の検出は、Ⅰ区の一番奥のトレンチの平面で黒灰色の土が検出され、それが土抗か柱穴である可能性があり、遺構のエッジの確認が必要でした。以前上層で検出されたピット(あるいは窪み)を飛ばしてしまわないようにしつつ、20cm幅であったトレンチをさらに拡大していきました。その際、トレンチ周辺にある平たい礎石の断面を確認するため、トレンチの幅をひろげていきました。拡大部分を掘り下げると検出された黒灰色土の土抗部分はさらにひろがっている模様で、全体の形状を掴むことができませんでした。(写真↓)
 それ以外の2つのトレンチは、平面で遺構が検出されていないのならば、掘り進んでもいいと前日に先生から指示を受けていたため、掘り下げていくことに。しかし、如何せん学生は平面の検出が苦手なため、Ⅰ区作業を担当していたナオキさんと私は、もしかしたⅠ区の下層遺構を飛ばしてしまっているかも知れないと心配しながら、作業を進めていきました。不安にかられながらも一つひとつ土層を確認し、断面に線引きしながら作業を進めると、やはり茶褐色の土が続くのですが、必ずしもそれが下層に伴うものではないと言い切れません。

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 Ⅱ区での作業は平面精査とともに、井戸北側の断面の作図、A区南壁の作図をおこないました。井戸北側は以前北側の抜取穴を検出した際に掘り下げた部分を先生が線引きされていたため、作図に入ることに。
 A区南壁際の穴は、先生がチェックされた断面に残る掘形の線引きが再びおこなわれました。そしてこのA区南壁でも、井戸断面で確認された黒灰褐色土と赤褐色土の二重ラインの土層が検出され、もしかすると、井戸同様に南壁周辺にも不同沈下防止のために薄い鉄板状の材が広範囲にわたって使われていたのかもしれません。しかし、いずれも井戸の近辺であることに変わりなく、先生によると、下層から上層の整地に移行するにあたって、井戸まわりに不同沈下をおこさないためのベタ基礎のようなものを配したのだけれども、結果として、上層建物の重みによって、井戸を中心に不同沈下がおきた結果ではないか、とのことです。(轟)


  1. 2010/11/17(水) 22:09:41|
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摩尼寺「奥の院」発掘調査日誌(ⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅩⅤ)

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県市教委による現場視察(3)

 11月10日(水)。この日は、午前中に県市教委の埋蔵文化財スタッフが現場を視察されました。

 まずは、先生が県市の方がたとともに各調査区をまわられ、出土遺構の説明をされました。27日に公開検討会を控えている私としましては、参考にしないわけにはいきません。前回視察していただいたときは、まだ下層井戸遺構の存在が明らかとはなっていなかったので、この日は井戸を中心に話が進みました。Ⅱ区、Ⅲ区、Ⅳ区、Ⅰ区と各調査区をめぐられ、視察後、自然科学分析のサンプル採取指導を受けました。
 指導を受けたのは、以下の3つです。

 ・花粉分析
 ・AMS(C14)
 ・岩石標本

 花粉分析のサンプル採取にはフイルムケースを使います。わかりやすいように、一通りの採取作業を、廃土を使って実演していただきました。まず、ケースの底部に空気の抜け道となる穴を開け、写真の写しこみ用に底部に「大地区」「小地区」「土層名」「日付」を書きます。その後、ケース開口部を採取する土層に突き刺し、写真撮影。その後、移植ゴテを使って、他の土層の土が混ざらないようケースを含め周囲の土ごとくりぬきます。最後に、フイルムケースの蓋をしめガムテープで封をします。底部の穴も同様にガムテープで塞ぎます。その際、底部に記したラベルがガムテープに覆われてしまうので、同じ内容をケースの胴に書きます。採取場所は、上層、下層の位置関係が明確なところで、複数箇所でサンプルを採っておくのが望ましいそうです。採取後は冷蔵庫で保存。ただ、断面を著しく欠くことになるので、採取は公開検討会以降がよいかもしれません。

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 C14年代は、炭を分析して年代を特定するので、まず分析する箇所で炭を探さなければなりません。井戸枠などは炭化が進んでいるため大きな炭は見当たりませんが、細かいものがいくつかみられるため、それを花粉分析同様にフイルムケースで採取します。大きな炭は、アルミホイルに包んで、冷蔵庫などで保存します。これも、他の炭が混ざらないように注意しなくてはいけません。
 岩石標本は、分析にかけたい岩の破片を収集します。もちろん何処の何なのかをラベルに書き込み写真撮影して採取します。採取する岩石のサイズは小さいもので十分だそうで、これも採取し忘れがないよう、複数箇所でサンプルを採っておくのが望ましいそうです。

 午後からは二手に分かれて、Ⅰ区の平面実測と深掘りトレンチの掘り下げをおこないました。深掘りでは古い土器が大量に出てきたのですが、遺構平面を押さえられていなかったようで、後日先生からまたお叱りを頂戴しました。現場全域をきちんと管理できなかった私の責任です。今後注意しなくては。(Mr.エアポート)

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  1. 2010/11/17(水) 18:42:48|
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