ちあきなおみのCD『戦後の光と影 瓦礫の中から』が届いた。文字通り、焼け跡闇市時代のど演歌集である。こんな、ど演歌をちあきは、演歌歌手として見事にうたい上げている。しかし、聴き手は、つまり私はど演歌を好まない。高いCDを買ったのだから、一度は通しで聴いてみるけれども、おそらく「カスバの女」と「星の流れに」以外の曲をこれから先の人生で聴く可能性は低いであろう。こういうコロンビア時代のアルバムに接すると、ちあきの心の葛藤がなんとなく透けてみえてくる(ような気がする)。演歌を唱わせても怖ろしく上手いけれども、ちあきは お・そ・ら・く こういう曲目を唱いたくなかったのではないか。『Three Hundred Club』との距離は無限大といってよいほどだ。
好きな曲を唱いたいと心の底から思って苦しんでいたのか、あるいはまた、生業(演歌系)と趣味(洋楽系)の二つの途を両立しながら歩もうとしていたのか、わたしには知る由もない。米軍基地をまわり、ジャズとタップダンスで育ってきた少女は演歌に対してどのような心情をもっていたのか。本人の口から聞いてみたいような・・・謎は謎のままでよいような・・・まぁ、どうでもいいか・・・
「カスバの女」には震えますね。「続き」に貼り付けた「朝日のあたる家」にも通じる悲しさが伝わってくる名唱です。
涙じゃないのよ 浮気な雨に
ちょっぴりこの頬 濡らしただけさ
ここは地の果て アルジェリア
どうせカスバの夜に咲く
酒場の女の うす情け
貴方もわたしも 買われた命
恋してみたとて 一夜の火花
明日はチュニスか モロッコか
泣いて手をふる うしろ影
外人部隊の白い服
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- 2010/12/17(金) 00:38:47|
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