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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

ナマズの消えた庄屋

 米子の今井書店で開催された大学の公開講座を終え、数年ぶりに駅前の「庄屋」をひやかした。もちろん、お目当ては日野川の大ナマズである。「ナマズはありますか」と問うと、「あります」とのことなんで、顔はほころび、では「姿づくりの刺身を」と注文したところ、「刺身はありません」と言われて、思わず絶句した。「蒲焼きか唐揚げならできますが、刺身はやらなくなりました」という。「なにぶん川魚なので、寄生虫がいるかもしれません・・・もちろん、そういう問題がおきたわけじゃないんですが、もしおきたら大変だからやめることにしたんです」と店の女性は言う。唐揚げか蒲焼きを薦められたのだが、あのやわらかくて、癖のない・・・口のなかで溶けてしまう刺身の味が忘れられないから、「寄生虫なんか怖くないんで、一尾まるごと刺身にしてくれませんか」と懇願したのだが、すでに水槽は撤去され、生きたナマズの姿はどこにもなかった。蒲焼き、唐揚げの場合、冷凍ものだということであり、食指は動かず、赤カレイのお造りを頼むことにした。この冬、カレイの煮付けは十尾以上調理し、自らたいらげているが、刺身ははじめての経験だった。もちろん美味しいが、ナマズの味がまた恋しくなった。
 残念でしかたない。「庄屋」の大ナマズは、山陰食文化の大いなる財産だと思っていたのに・・・あの刺身を味わえなくなってしまったなんて。
 
 ナマズは中国貴州の少数民族地帯で、毎日食べていた。泥臭くて、不味い川魚だった。その後、黒龍江省の鏡泊湖の民宿で大きなナマズをよく食べた。こちらは、まぁまぁの味がした。日野川のナマズは、そこいらの中国ナマズとはレベルが違う。冷たい清流がはぐくんだ清澄な味がして、2期生の西河♂くんの大好物だった。「先生、いいですか」とにこやかに笑いながら、かれは何度もナマズの刺身をおかわりした。昨日のことのように思い出す。

 村上龍の『料理小説短編集』にもナマズが出てくる。ニューヨークのレストランで、美女とともにビルマのナマズを食べる話だ。食欲と性欲が交錯するオチに心臓を射抜かれたのもまた昨日のことのようだ。

 庄屋の前後に、二人の人物と再会した。予期せぬ再会で、奇妙な夜だった。

01公開講座>
↑公開講座のあと、年度末の表彰式がおこなわれ、表彰者とともに記念撮影。
  1. 2011/02/14(月) 00:29:48|
  2. 食文化|
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asa

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