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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

木綿街道のこと(ⅩⅥ)

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町家の調査(5)

円応教嫁島協会愛宕布教所
 円応教嫁島協会愛宕布教所(以下、布教所)は宮ノ町の北側に位置しており、前述のO邸と道を挟んで対面にあたる。敷地の奥行きは狭く、オモヤ以外に付属する建物はない。
 建物はそれぞれ高さのことなる棟を直交させてつないでいる(↑)。外観上は切妻の平入と妻入を併用しており、周辺の町家と比べても特異な形をみせる。東側二間半の平入部分はツシ二階の塗り家造り。対して西側二間の妻入部分は高二階で、ケラバの母屋まで塗り込めているので土蔵造となっている。また、前面道路に対して上屋は斜めに振れているのに対して下屋は道と平行になっているため、斜接である。

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 内部平面(↑)は中央の半間を西側の間取りに取り込んでいる。東側二間は前から四畳半、三畳、六畳に半間の縁がつく。西側二間半は六畳、四畳、八畳に東側二間の縁が延長してとり付く。なお、東側と西側では柱通りが一致しないことから、もともと別の建物であったものを内部で繋いだと考えられる。それぞれをつなぐ半間の空間は、もとは庇合だったのではないだろうか。
 小屋組みは折置組で、牛梁上に棟束を立てて棟木を支え、母屋については棟束と上屋柱を繋ぐ斜め梁に束を立てて支える。また、平面で別棟の可能性を推察したが、庇合だったであろう半間の東側の柱どおりには小屋裏で壁が立ち上がっていることからも伺うことができる。

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 本建物については、現所有者に話を聞く事ができず、資料に乏しいため建築年代を知る事ができなかった。ただ、平屋部分については軒高が低く、内部の天井はすべて大引天井で材の中には、手斧跡らしきもの(↑)が確認できる。また、長押を一切使っていないことなどから、18世紀中期まで遡るかもしれない。

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  1. 2011/09/13(火) 13:19:17|
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本家魯班13世

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