町家の調査(7)続・旧石橋酒造 前回は屋敷全体について述べたが、当然、旧石橋酒造それぞれの建物の文化財的な価値も高い。特にオモヤ(↑)について今回細かい調書をとったので、さまざまなことが判明した。以下、とくに重要な点を箇条書きしておく。
1)オモヤ内部には長押をまったく用いておらず、数寄屋の要素は皆無であり、書院造的というほどでもない。逆に、ハナレの座敷には面皮の長押を多用している。
2)2階座敷において、18世紀中期以前の平面的特色である「1間ごとに柱を立てる」部分がある。
3)大黒柱などの古材の艶光りが、これまでみてきた18世紀中頃(もしくはそれ以前)の民家とよく似ている。
4)正面の屋根が「シコロ葺き」風の低い二重屋根になっている(ツシ2階のように、古ければ古いほど2階の丈は低い)。
5)外観は土蔵造のようにみせるが、垂木先端部などの木部は土で塗り固めていない。つまり、純粋な「土蔵造」ではなく、必ずしも大火後の建築とは言えない。
以上のことなどから、オモヤの建築年代が18世紀中期頃まで遡る可能性があるだろう。さらに、本家にあたる登録文化財「本石橋家」(↓)の建築年代に係わる家伝もまた「宝暦」=江戸中期頃である。
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- 2011/09/24(土) 08:41:03|
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