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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

摩尼寺「奥の院」遺跡の環境考古学的研究(Ⅲ)

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オーガーボーリング調査(Ⅰ)

 10月21日(木)午前。摩尼寺「奥の院」遺跡Ⅰ区・Ⅱ区でボーリング調査が始まりました。この調査に先んじて、複数の測量会社等への業務委託を試みたのですが、現場が山頂近くに位置し、地盤に凝灰岩礫を多数含むことから、調査を受ける企業がついにあらわれず、とうとう研究室のメンバー自ら取り組むことになりました。とくにW社の対応は「鼻で嗤う」ような態度であり、先生はご機嫌斜めでしたが、最終的にはA社が器材を貸与し、掘削方法を指導するということで落ち着きました。調査では、A社土壌担当のFさんに加え、オーガーボーリング経験のある考古学者Sさんにもご指導いただきました。
 ほんらいボーリング調査は、地表面からおこなうべきであり、8月下旬のボーリング測点杭打ちでも昨年度の調査区から外れた4ヶ所を設定していましたが、地盤の固さを考慮すると掘削が非常に難しいと想定されたので、今回は昨年度の調査で深掘りした部分の埋土と土嚢をとりあげ、トレンチ底からの掘削としました。
 A社からお借りしたのはハサミスコとハンドオーガーです。ハサミスコというのは、大型のハサミのようなスコップで、地面に突き刺して土壌をはさみあげるものです(↓)。一方、ハンドオーガーはT字に組んだパイプの先端に刃先に間があるドリルがついており、手動で回転させて掘り進めながら、土壌を採取していきます(↑)。作業の方法は、

   1)レベル測量によってトレンチ底の標高を算出
   2)ハサミスコもしくはハンドオーガーで土壌採取
   3)凝灰岩や遺物の有無を確認
   4)採取された土壌の一部をジッパー付袋に保管
   5)ラベルに標高、土壌の色・質、日付などの情報を黒マジックで
     書いてジッパー付袋に入れる

の繰り返しでした。
 まずはⅡ区エリアから試掘を開始。礫や凝灰岩が土層に混じっている場合、ハンドオーガーでは掘り下げが難しいので、とりあえずハサミスコを使って掘り下げました。ただ、1回で数センチしか下げられないため、ハンドオーガーに切り替えることに。するとすると、大方の予想に反し、するするドリルが地面にくい込んでいきます。予想外の結果に参加者全員の顔がほころびます。そして、なにより作業がおもしろく、楽しい・・・作業効率も大幅にアップし、午前中だけで1m以上掘り進めることができました。9回目の掘り下げから、礫をけずる音がしなくなる変化があり、土の色も茶灰粘質土から淡赤灰褐砂質土に変わっていることが確認できました。先生はいったん「地山かも」と判断されましたが、まもなく「まだ下かも」と修正されました。

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↑↓ハサミスコは最初の2回だけ使った。
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  1. 2011/10/22(土) 04:57:22|
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