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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

山林寺院シンポジウムを終えて(Ⅱ)

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国営公園か重要文化的景観か
 ディスカッション1時間のうち40分間が考古学・建築史学の質疑、残りの20分が山林寺院の遺跡と景観の保全活用に関する質疑となり、後者の最初に中橋教授から山陰海岸ジオパークと連動した「エコ・コリダー」構想、「国営摩尼・久松山公園」構想などが矢継ぎ早に提唱されました。大変ありがたいご提案なのですが、国営公園(ロ号)については、国営公園になった平城宮跡の復元事業で苦しんでいる箱崎さんが問題点を指摘し、OBであるわたしもまたおおいなる懸念を示しました。
 国の特別史跡にして世界文化遺産の平城宮跡が、国営公園事業によって、復元建物の林立する吉野ヶ里のような姿になるとしたら、それは嘆かわしいことです。史跡の文化財価値が充ち満ちた状態で次世代に受け渡すことがわたしたちの使命であって、復元建物を建てることが史跡整備の目的になってはいけないはずです。多すぎる復元建物は、むしろ文化財価値を減じる要因になりかねないでしょう。摩尼山がかりに国営公園になったとして、奥の院遺跡に復元建物を建てることをわたしは支持できません。奥の院の雑木を伐り払い、岩陰仏堂・岩窟仏堂が加工段(平坦面)と一体化した姿をみせることで、余計な整備は必要ないと思っています。芝生や苔やシダなど、あるいは低灌木などをつかった穏やかな植栽の表現で十分でしょう。
 そもそも、わたしたちが「山林寺院」というテーマに辿りついた原点は「文化的景観」の研究にあります。ですから、わたしは最後に「摩尼山を重要文化的景観にしてほしい」と訴えました。国史跡「鳥取城跡(久松山)」と山陰海岸ジオパークの中間にある摩尼山が重要文化的景観になることで、鳥取城跡から摩尼山を経由して山陰海岸に至るひろい範囲が景観保護エリアになります。倉吉のように歴史的な町並みの残っていない鳥取市中心域では、市街地ではなく、山と海をつなぐエリアに焦点を絞るほうがよいと考えています。
 摩尼山はべつに「重要文化的景観」でなくてもかまいません。「史跡」あるいは「名勝」の対象にも十分なりえます。わたしたちはこれから一所懸命、発掘調査等の研究成果報告書を編集し、刊行します。行政の皆様にあっては、わたしたちの研究成果をご熟読いただき、評価・活用すべきところを積極的にご活用いただき、摩尼山の資産と景観の保護が実現することを切に願っております。


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  1. 2011/12/24(土) 15:20:05|
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asa

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