通潤用水と白糸台地の棚田景観 クリスマスには山都にいた。山都は「やまず」とでも読むのだろうと車を走らせていたところ、道路標識に YAMATO とあるのに驚いた。さらに、高千穂まで40キロばかりの地点だというから、(そうか八女などと並んでここも「卑弥呼の国」の有力候補地なのだろう)と考えていた右手に「邪馬台国」というラブホテルがあらわれた。
山陰では大雪だという知らせがあり、熊本でも零下にさがるほどの寒さでまれに吹雪いたが、日差しは明るい。

上益城郡山都町の通潤橋は、嘉永7年(1854)、五老ヶ滝川の渓谷に架けられた石組通水橋である。水源に乏しい白糸台地へ水を送るために架けられた見事な石造アーチ橋で、昭和35年(1960)に重要文化財に指定されている。
通潤用水を中心とする渓谷及び周辺の棚田景観の複合する景観は、1991年に「美しい日本のむら景観百選」、2006年に「疏水百選」に選定され、2008年には「
蕨野の棚田」(佐賀県唐津市)とともに「通潤用水と白糸台地の棚田景観」として国の重要文化的景観に駆け上がった。名勝指定された千枚田がすでに存在するにせよ、フィリピンの「コルディレラの棚田」の世界文化遺産登録(1995)以来13年を経て日本に文化的景観としての棚田が誕生した瞬間であった。
審美性の高い重要文化的景観だと感じた。各地の重要文化的景観を訪ね歩いていると、「どうしてここが・・・?」という疑問を禁じ得ない場合がしばしばある。「通潤用水と白糸台地の棚田景観」には十分納得した。すぐ下流には「道の駅」もあり、観光客の受け入れ体制も整っている。
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- 2011/12/31(土) 01:35:19|
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