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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

列車のゆくえ

 『1Q84』は不思議な小説だった。どこかで聞いたことのある名前の人物があらわれて、似たような経験が続々と綴られ、現実と小説が錯綜していく。夜空を見上げると、二つの月が浮かんでいるような気がしてしかたない。黄色い月と緑の月が並んでみえるのではないか。自分も「こうではなかったはずの」2o12年を生きているのかもしれない。そんな想いにかられていた。
 渋滞の首都高速から国道におりる螺旋階段が、1984年と1Q84年の通路だとしたら、2012年から2o12年への出口はいつどこにあったのだろうか。ルアンプラバンまでは順調だった。おかしな兆しが見え始めたのはミャンマーであり、クチャでもすでに世界は歪んでいたのかもしれない。どこかの洞窟か石窟に抜け道があったのだろうか。アジャンタに出口があったとすれば、これ以上の不幸はない。いや、アウランガバードに向かう長距離列車がどこかの駅で切り替わった線路に乗り入れ、軌道を変えてしまったのか・・・
 五十日(ごとび)におかしな出来事が集中する。その始まりは5日で、富士屋の倒産を知らされた。10日はインドの出発日。苦行の始まりだ。15日はふかえりの送別会と同時に空気さなぎにドウタが宿り、20日は小学生向けのメッセージを訓じる長話に、顔がねじ曲がった。25日にドウタは消えた。

 『1Q84』はbook2まで比較的楽に読めた。book2で終わったとしても、大いなる余韻が残って良かったのではないか、と思いながら読み進めるbook3が結構辛い。大雨の事故渋滞に苦しんだ中国縦貫道の西宮名塩パークでbook3を読み終えた。なるほど、こういう結末か、ならば、book3もたしかに必要だとは思ったが、book3では「青豆」「天吾」に加えて「牛河」の章が加わり、謎解きに時間を費やした。「牛河」の章は説明的すぎる。すでに読者が理解していることを、牛河の立場で推測していく部分が少なくなく、読者は文字数の多さに辟易し始めるだろう。


2012おんた002

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  1. 2012/03/26(月) 23:58:52|
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本家魯班13世

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