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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

配付垂木を学ぶ-地域支援(Ⅲ)

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 今日は暑かった。正午に雨が降った後、急に晴れた為だろうか大学のキャンパスはムシムシしている。昼休みに学食で「てんぷらうどん」をたいらげた後はじっとりとした暑さが全身を包んだ。なんでこんな日に限って学食のお茶は熱いのしか置いてないのかねぇ…いやになっちゃうよ。
 さて、こんな暑い天気でも緑のあふれている佐治町は心地良い。川のせせらぎや木陰が暑さをやわらげてくれる。先日、鳥取市文化財課のSさん、某大学院生とともに佐治町「笹尾神社薬師堂」の軒まわりの部材状態の調査をおこなった。その結果をSさんが資料としてまとめ、本日浅川教授が薬師堂に足を運んで修復の方針を大工さん方と検討された。

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 今日は配付垂木と論治垂木について学んだ(ちなみにボクはこの名前を今日初めて知った)。薬師堂の軒は平行垂木なので、隅木のまわりに配付垂木と論治垂木を見ることができる。論治垂木とは、木負と隅木の交点から出ている垂木のことであると教授に教えていただいた。地垂木と配付垂木の境の垂木という言い方もできるだろう。配付垂木とは隅木に取り付ける垂木であり、上端を隅木のホゾ穴に差し込むだけだから構造的には非常に弱い。一番上の写真は、隅木から配付垂木がこぼれ落ちた状態を示している。こういう構造的な弱さにも拘わらず配付垂木を用いるのは、平行垂木を好む日本人の美学と言えるかもしれない。
 一般的に、地垂木は桁と小屋裏の横材の2点で支持されるので構造的に安定感がある。ところが、教授にくっついて部材の破損状況を見てまわっていると、面戸板であると思いこんでいた材がじつはハネギ受けであり、地垂木は桁の方の部分に上端をのせているだけであることが判明した。垂木の下端側では上面にホゾを彫ってカスガイで木負に固定している。軒が下がらないように、桔木と垂木を金物でつなぎ、木負で軒全体を吊り上げているという構造を説明され、教授は非常に驚いておられた。要するに、この薬師堂の垂木は4面すべてが配付垂木と同じ構造になっている。これでは沈下しないほうがおかしい。実際に軒のラインは4面とも大きく波打っている(上から2枚めの写真)。

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↑10本前後に1本、こういう金具のついた垂木がある。金具でハネギと繋いでいるのだが、材が細いため金具の挿入部分で折れている。 ↓ダボのようにしてカスガイを使っているが裏甲から垂木が外れている例。以上2点の破損は、おこるべくしておこったものである。
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 前回の調査でもSさんや大工さんにこの構造を説明していただいていたが、私はこういう垂木の構造もあるのか程度にしか思っていなかった。部材の破損は雨漏りや虫害だけが原因だと思い込み、部材を交換するぐらいの修復で済むと思っていた。しかし、よく考えれば教授のおっしゃるとおり、構造的に非常に弱いではないか。いかに自分がこの世界のシロウトかを思い知らされた。
 このままの構造で修復したとしても、しばらくすれば同様の沈下や劣化がおきるだろう。これでは修復の意味がない。前回のブログで「材料のオーセンティシティー」について述べたが、「オーセンティシティー」という言葉を尊重しすぎていた私は、いつのまにかなぜ部材が破断したのかということを疑うのを忘れていた。本当にこの分野は難しい。この軒まわりを補強する為の案として、桔木受けを貫くようにして何本か力垂木を小屋裏まで通して固定する案や、鉄板葺き用の新しい桟木から化粧垂木の端をワイヤーで吊り上げるという案や、軒下に補助柱を立ち上げて丸桁で垂木の先端をうける案などが教授の口から漏れたが、どれも決定打とまでは言えないようである。
 
 今回学んだことは広い視野で現状状態を把握することの重要性であった。前回の調査では自分の知識が乏しいばかりに、これが当たり前の構造だと思い込んでいたため、材料のオーセンティシティーだけを考慮して修復すればよいものだとばかり思っていた。教授の「配付垂木」の説明におもいっきり学ばせられた。広い視野でこの薬師堂を観察して、この構造を見抜き、即座に補強方法を思いつく教授やそれに応対する大工さん、Sさんに脱帽した。改めて自分の知識はまだまだだと思い知らされた。もっといろいろな建造物を見て視野をひろげなければならないと思った今日であった。(Mr.エアポート)

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↑面戸のようにみえる材はハネギ受け。垂木はハネギ受けにあたるだけで、それを貫いてはいない。桁の肩にのっているだけ。桁の外側に長押をまわして、垂木掛けの機能を強化するのも一手ではないか。 ↓小屋裏にまわっても化粧垂木はのびていない。よくこれでもってきたものだ・・・
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  1. 2007/06/07(木) 00:00:17|
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