ブログへの掲載が遅れましたが、鳥取県教育委員会から表記の報告書が刊行されました。
「鳥取県の近代和風建築調査」には懐かしい想い出があります。この調査は2003~2005年度におこなわれたものでして、うちの研究室は2004年度の秋から冬にかけて1期生(4年)と2期生(3年)が総出で調査を支援したのでした。いちばん心配だったのは、兵庫県赤松地方出身のマッツンという1期生が調査に参加したときであります。マッツンが出来るとしたら、せいぜい写真撮影の補助ぐらいだろうと思っていたのですが、同行した津村さん(1期生女子)に聞いたところ、なんと実測を仰せつかったというから、いったいマッツンがどんな図面を描いたのかと2~3日落ち着きませんでしたね。
調査を担当したのは、わたしの後輩にあたる奈良文化財研究所の建造物担当技師さんたち。まぁ、この世界のエリートですわね。かれらには、鳥取環境大学の学生レベルがたぶん理解できなかったんでしょうね。うちのゼミは本学でもかなり出来の良い学生たちが集中してきたほうだと思うんですが、なかにはね、・・・いやこれ以上の発言は控えましょう。

調査は最初の2年、県庁のハマダバダ2号くん(現在は異動して別の部局に在籍)がマネージしていましたが、建造物担当として新規採用されたホテル松本さんにバトンタッチされ、報告書も彼女と奈文研の西田さんが共同で編集されました。お疲れさまでした!
編集者は麗しき女性2名でありましたが、わたしは鼻の下をのばすこともなく、指導は相変わらず厳しかったんですよ。最初はいっさい口を挟まないつもりでいたんですが、ハマダバダ2号くんが三顧の礼でわたしに助言を求めてきたので、最初の目次案をめたくたに批評したら、結局わたしのアイデアがほとんど採用されることになってしまいました。
わたしは「編集」という仕事には、とくにうるさくてね。「編集」ほど楽しい仕事はない。研究者たるもの、原稿の執筆はもちろんのこと、編集の技能を身につけなきゃ話にならない。と思っているのですよ。紙面デザインもまともにできないんなら、建築学科(あるいは環境デザイン学科)を卒業したなんて公言するんじゃないよ!

さて、今回の報告書は350ページを超える大著です。じつにたくさんの方々が執筆してくださいました。奈良の研究所と地元関係者の執筆分担もバランスがよいし、なかなかの力作だと思います。ただ、敢えて苦言を呈しておくと、2段組のフォーマットが原始的すぎるね。どう修正したらよいのか? 答えはそこいらの出版物にいくらでも潜んでいますから、プロの2段組と自分たちの2段組がどう違うのか、編集者自ら考えてみてくださいな。
目次は上に示すとおりですが、うちの研究室が執筆に関わったのは以下の2ヶ所です。
5-1 歴史的建造物のデジタルマッピング -その方法と意義(浅川・岡野)
5-3 文化財建造物保全の方途と課題(松本・浅川)
この報告書に収録された多くの建造物から、1棟でも多くの指定文化財・登録文化財が生まれることを願ってやみません。
- 2007/06/20(水) 02:08:48|
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