
金曜日の朝は、ひどい雨と風の天気でした。しゃんしゃん傘踊りの練習のため、朝早くから大学に行った私はずぶぬれになりました。しかし、土曜日は前日の悪夢とは一転して、とても良いお天気。絶好のお出かけ日和ですね。
そんななか、鳥取県立図書館で鳥取いなばライオンズクラブ主催「鳥取環境大学生による研究成果発表会」が14時から2時間行われました。学生4名がそれぞれの研究の成果を発表する、というものでしたが、その中に我らが浅川研究室の岡垣くんがいました。と、いう訳で今日はその発表を聞きに、県立図書館に行ってきました。
4名の学生のうち、岡垣くんは3番目の発表です。多くの聴衆が集まり、私だったら怖気づいてしまいそうな雰囲気の中、岡垣くんは堂々と発表を始めました。彼の発表テーマは「ローコストによる古民家修復 -加藤家住宅の実験-」です。加藤家について、学生が調査をしたことや修復をどう進めていったかなど、様々な写真や図面を用いて発表していきました。ちょっとしたユーモアも交えながら発表はどんどん進み、あっという間に20分の発表時間は過ぎました。終った後の感想として、ちょっとスライドの表示時間が短いものがあったなぁとか、早口だったなぁとか、そのくらいしか思っていませんでした。
ところが、発表後の質疑応答の時間中に、浅川先生から
「今日の発表はひどかったですね、あとでみっちり説教しときますから」
という衝撃のコメントが発せられました。

発表会後、米子に出張する先生を見送るため鳥取駅に行き、いつもの「
服部珈琲」で反省会をしました。そこで先生はピザを食べ、コーヒーを飲みながら、発表資料を叩き台に一つずつ問題点を指摘されていきました。それらの指摘の中で一番私の印象に残ったのは、聴衆が誰だったかということです。岡垣くんは多くの図面を提示しながら発表していました。そして、私も何気なくそれらを見ていました。しかし、今日の対象は一般の方々。図面(とくに伏図)を見ても分からないだろう、と言われました。また、建築や保存修復を学ぶものにとっては当たり前の用語も、一般聴衆には通用しない、とも言われました。これには彼も反省していました。この指摘は、岡垣くんが先生より言われていたことですが、彼の発表を聞いていて何の疑問を持たなかった私も、彼と同じように指摘されているようでした。自分が当たり前だと思っていることが、相手にとって当たり前だとは限らない、ということを彼も私も改めて確認させられました。(部長)

↑P3で「アトリエを作ろう」プロジェクトに取り組んでいる向井くんも「ビーチコーミング」について発表した。昨年度P2の成果。清々しい好演でした。
今年2月3日の
「民家に学ぶ」講演のことを思い出しながら、岡垣の発表を聞いていた。会場も同じ。あのときは、わたしと大城が35分ずつしゃべった。大城のスピーチは木訥として、ときに言葉に詰まり話が滞ることもあれば、逆に冗長になりすぎるところもあったけれども、最後まで聞いていると、わたしでさえ胸にじ~んとくるものがあった。これは講演の技術が上手いからではない。かれの誠実な人柄がそのままスピーチにあらわれているのである。
倉吉での卒論発表会でも、そう思った。あの日は大城だけでなく、安田も森川も吉村も北野も、みなまじめに良い発表をした。卒業研究の苦しさを味わった学生だけが発信できるスピーチに聴衆のみなさんも心を打たれたと信じている。
人の胸を打つのは、結局、こういう「誠実」な態度であり、言動であるということを知ってほしい。ユーモアだとか、駄洒落は二の次だ。短い時間のなかで、先輩をおちょくったり、いま一緒に活動している仲間たちにチャチャを入れる必要はまったくない。岡垣は「研究室の代表」として今日はよく頑張ってくれた。しかし、今日の講演でかれはあきらかに「すべって」しまった。「すべった」という自覚がないとなれば事態は深刻であり、そのことを悟ってほしかったのである。(浅川)
- 2007/06/24(日) 01:20:40|
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