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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

加藤家住宅裏木戸の発掘調査  ―生きている石、死んでいる石、そして虫

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 先週の予告通り、今日は、以前「裏木戸」があったとされる加藤家の南側石垣(修復中)で発掘調査をおこなった。持ち物は以下の16点。
  ・デジカメ ・コンベックス(5m) ・スコップ ・巻尺(30m) ・3色ボールペン 
  ・レベル ・お茶 ・配置図 ・トータルステーションとその周辺機器一式 ・画版 
  ・軍手 ・方眼紙 ・糸 ・三脚 ・スタッフ ・5寸釘 
他に、ホカノさんが「あったらいいかも」的なものを選んで持っていった。

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 授業の関係で、研究室男子を2班に分け出発。ちなみに女子たちは、演習室で来週入稿予定の「倉吉アーケード街町並み報告書」編集作業に従事した。
 現場に着いてまず機器の準備。調査チーム本体が到着するまでに動作確認などをおこなった。本体が着いてからの作業は以下の通り。
  1.柔らかい土の層をスコップなどで丁寧に掘る
   ※この時出土する遺構とは関係ない石・瓦・木・木の根っこなどは、
    そのつど分別してまとめておく
  2.石、または昔の地層と思われる固い(粘土質の)土が出てきたら、
    先生を呼び、生死判定をしてもらう
  3.ある程度出てきたら、そこから予測される石垣のエッジ(端)
    に沿って掘り進める。
 ここで言う「生死」判定とは、掘りかえしたところから出てきた石の、生死を判別することである。

 「生きている石」=当時(おそらく江戸~明治時代)のままの状態にある石のこと
 「死んでいる石」=当初の位置から動いていたり、廃棄された石のこと

 石にとっては迷惑な話だが、これも裏木戸復元のためとこらえていただいた。しばらく掘ると様々なものが出てきた。古い剪定バサミやナタの刃の部分。歴史を感じさせる遺物が礎石以外にもたくさんあった。番外編として、なんとかミミズやトカゲ、ダンゴ虫、卵を守るムカデやとかげなど、加藤家の自然を形作るもの達とも出会った。こういうものが出てくると、気分が高揚するのだが、そう簡単にお宝は出てきちゃくれない。ただひたすら掘り、土やら石やらを片付ける。いやはやなんとも、根気のいる作業だった。

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 復元平面を作成するのに申し分ないほど掘り進み、次は測量作業に入っていった。Mr.エアポートが遺構平面をスケッチ&実測し、ホカノ&左SHの測量コンビはレンズを覗く。また、けんボーと私は遺構撮影及び片付けに奔走した。なお、復元に関する測量や復元案に関しては加藤家HPのブログ「倭文日誌」を参照していただきたい。Mr.エアポートが立派な復元平面図を作成している(→ こちら をクリックしてください)。
 皆さんどうもお疲れ様でした。(チャック)

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ムカデの母性

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 学生たちには、まず石がでてきたらその面で掘削をストップすること、さらにサクサクした黒土(表土)を剥いで、粘土混じりの固めの土がでてきても掘削をストップするように指示した。西側と東側では遺構の状況が対照的であった。けんボーとホカノが担当した西側では礎石のほか石垣の側を検出(↑上側2枚)。対して、エアポートとチャックの担当した東側では礎石や側石はなく、裏込(裏栗)と思われる小振りの石がみつかった(↑下側2枚)。

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 驚いたのは、けんボーが発見した雌の百足(ムカデ)。産卵した卵十個ばかりを抱えるその雌の百足は卵を必死で守っている。その姿をみたけんボーは「とても殺せない」と言った。それをみた他のメンバーも同じ意見。「母性」とは性交渉と同じく「種を保存する」ための本能なのだろうが、それを百足に教えられるとは思わなかった。わたしはさっそく生物学専攻のK教授の研究室に電話したのだが、不在だった。土ごと箱に入れて持ち帰れば良い教材になるとも思ったからなんだが、電話も通じないし、「そっとしておいてやろう」と決めたのだった。(浅川)

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  1. 2007/07/06(金) 23:03:10|
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