倉吉報告書の原稿(森川卒論)を校閲していくなかで、『遥かな町へ』という漫画作品の存在を知った。鳥取出身の漫画家・谷口ジローが昭和38年の倉吉を描いた名作であるという(同年、本町通り商店街にアーケードが架設された)。倉吉市観光協会は今年4月1日から「遥かなまち倉吉創造プロジェクト」の第一弾として、漫画作品に描かれたスポットをめぐるツアーを始めている。「谷口ジローさんの漫画と観光をコラボレーションさせ、倉吉市内に残る白壁土蔵群と昭和30年代の町並みを探訪する観光ツアー」で、「漫画に描かれた風景がそのまま現存する」ことに着目したツアーとして脚光を浴びているとのこと。
さっそくネットで『遥かな町へ』の古本を注文した。アマゾンのカスタマーレビューは5つ星満点。ほかにも鳥取をテーマにした作品がないものか、と探したところ、大火後の鳥取を描いた『父の暦』という作品があることを知り、こちらもただちに注文した。
どういうわけか、1日遅れで発注した『父の暦』のほうが先に手元に届いた。午前から会議と来客の嵐で、漫画に目を通す暇などなかったのだが、夕方6時からの会議では、もう開きなおって会場の後のほうで『父の暦』を読み始めた。おかげで時計の針が早く進んだ(審議内容は午前中の委員会で熟知していた)。計4つの会議もようやく終わり、久しぶりに回転寿司へ。バイトの政策学科4年生が運んでくれる寿司をつまみながら、『父の暦』を読み終えた。
深い、深い、作品だった。胸を打たれた、というよりも、胸が痛んだ。「父」という存在の重さ。葬儀の後の酒席で主人公の伯父は言う。
「・・・親の事考えん子がおっても子の事を考えとらん親はおらんちゅう事だ」
その言葉は、杜氏をしていた若いころの伯父の言葉に重なって、走馬燈のように主人公の頭をかけめぐる。
「酒は生きものだけえ、・・・・いつも気をくばってやらにゃいけないんだ。麹室や樽の癖みたいなもんをよう見てなあ。こっちが気持ちを込めて語りかけてやりゃあむこうだってちゃんとこたえてええ酒になるだ。」
午後3時から、休学希望の学生の父親と面談した。片道5時間半かけて、その父親は大学までやってきた。明日は仕事があるから今日中に帰らなければならない、という。片道だけでも十分疲れ果てた表情にみえる。話を進めていくなかで、その父親は断言した。
「わたしはこの娘を信じとりますけぇ。」
娘は目を真っ赤にして泣いていた・・・・羨ましい、と思った。
『父の暦』には、倉吉の町並みが1ヶ所でてくる。父と離婚し、別の男性と暮らし始めた母親を慕って、小学5年生の主人公はひとり列車に乗り、倉吉の街にやってくる。なんとか「松本」という表札の家を探しあて、その門前で母親とばったり。しかし、母親は乳飲み子を抱きかかえていた。
その悲しい出会いの舞台が、今の「打吹玉川重伝建地区」である。
- 2007/07/12(木) 00:31:03|
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- 鳥取島根観光日記