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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

さよならが言えなくて

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 27日に戸倉峠を越えて、奈良に戻った。昼に戸倉峠を越えるのはまる2年ぶり。「回転流し笹うどん」を食べないわけにはいかない。
 いや、ほんと、この峠のモーテルは気持ちよいんですよ。ヒグラシの合唱と渓流と山並みに癒されながら「回転流し笹うどん」を食し、わたしはまた峠をくだる。
 で、奈良に着いたら夕方。患者から「散歩に行こう!」と誘われた。
 夕方の散歩は患者の日課。結構な距離を歩く。その日は、朱雀のコープまで歩き、夕食の買い出しを兼ねることにした。コープまで行って、リュックで運べる程度の食料を買い、どういうわけか、わたしがお勘定を払った。そのとき、財布はあったのである。
 翌日、こんどは車で近鉄奈良駅へでかけた。例のアーケード探索である。このとき、駐車場で、わたしは財布をもっていないこと気がついた。
  「また、リビングのテーブルにでもおいてきたのだろう・・・」
 そう思っていたのだが、帰宅後、テーブルに財布はない。失くしたとしたら、自宅とコープをつなぐ散歩道しか考えられない。いやいや、こういう場合、しばしば車の乗り降りの際にドアにジャケットがひっかかって財布が落ちるもんだ。これまで何度か、そういうことがあったぞ。と、思い、懐中電灯をもって車内を調べたのだが、みつからない。
 仕方がないので、高の原交番に電話して遺失物届けを出し、クレジットカード会社に電話して1枚分ストップさせた。

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 今日、久しぶりに車に乗った。高の原駅前に誕生した巨大なサティまで患者とお買い物。そして、わたしは座席とドアのあいだに手をしのばせた。なにやら固いモノがある。財布だった。
 車内は懐中電灯で執拗に探したつもりなのだが、案外、死角が多い。やはり、ジャケットがドアにひっかかって、財布が転げ落ちていたのである。いや、良かった。損失はクレジットカードの再発行費525円のみ。
 サティで椅子を買いたかった。嫁入り道具のダイニング・テーブルとセットになった椅子がガタガタで、とうとう1台わたしの重量に耐えきれずバキバキと音をたてて崩れ落ち、家内はついに椅子の総入れ替えを決意したのであった。しかし、サティに家具屋はなかった。エスニック系の雑貨屋には東南アジアの数寄な椅子がいくつかおいてあったが、値札をみて唖然呆然。仕方ないので、二人でパスタを食べて家に帰った。そして、そのまま、わたしはまた暗闇の峠越えへ。

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 今夜はトミー・エマニュエルについて書こう。技巧に限って言えば、アコースティック系フィンガー・ギタリストでは世界でいちばん上手い人だという世評をよく耳にする(山下和仁の「展覧会の絵」には遠く及ばないにせよ)。ただし、音楽的にどうなのか、と問われれば、もちろん悪い音楽ではないのだが、「?」のところもないことはなくて、個人的にはペンタングルのバート・ヤンシュやジョン・レンバーンに軍配をあげたい。
 戸倉峠に入る直前まで、エマニュエルの『エンドレス・ロード』を聞いていた。カントリーを基調としているが、ジャズの理論もよく理解しているし、フラメンコのテクニックももっている。ハーモニクスの技術になると「インクレディブル!」と絶賛するしかない。しかし、『エンドレス・ロード』は全体の構成に軸がないというか、曲と曲のつながりが弱く、通しで聞こうという気になかなかならなくて、曲を飛ばしてしまう。
 お目当ては16曲め。最後から2番目の「I Still Can't Say Goodbye」。ご存じの方も多いと思うが、チェット・アトキンスがボーカルの十八番としていた曲である。わたしはVHSとDVDの両方で、アトキンスがこの小唄を弾き語りする映像をみた。とくにDVDが印象的だった。競演するジェリー・リードが超絶テクニックで「Georgia on My Mind」を弾き語りし客席を熱狂させた後、アトキンスは淡々と「I Still Can't Say Goodbye」を歌い始める。歌が上手いわけでもなければ、伴奏が派手なわけでもない。ただ、真摯で木訥な歌いかけに客席は静まりかえる。この歌は亡くなった父親を思慕するバラードで、アトキンスは歌い終わると、一言「I love you, daddy」とつぶやく。
 客席のあちこちでは、女性客が(男性客も)涙を浮かべ、目頭をハンカチで拭っている。静寂のあと大きな拍手がアトキンスを包みこむ。こういう歌を聴かされると、「人の胸を打つ音楽とは何か」といつも考えさせられる。
 トミー・エマニュエルも、きっとそのことに気づいているのだろう。そして、エマニュエルはアトキンスが大好きで、いつか「I Still Can't Say Goodbye」をカバーしたい、と思っていたに違いない。エマニュエルのボーカルは素晴らしく、弾き語りのギターも控えめだ。リードギターはフラットマンドリンのようなトレモロを刻むだけ。サビの部分に女性のコーラスが効果的に入ってくるが、これもまた短く控えめ。とてもシンプルで、とても美しく、何度聴いても飽きることがない。その1曲前の「虹の彼方に」はハーモニクスを駆使した超技巧的なインストルメンタルだが、一度聴けば十分。世界でいちばん上手いアコギの名手のアルバムで、いちばん人の胸を打つ曲に仕上がっているのが、最も技巧的でない弾き語りの作品なんだ、ということをわたしは書いておきたい。
 「人の胸を打つ音楽とは何か」について、今夜もまた考えさせられた。

 どなたか、綺麗な日本語に直してくださいませんか?

I Still Can't Say Goodbye
by R. Binn, J. Moore

When I was young, my Dad would say
Come on Son let's go out and play
Sometimes it seems like yesterday

And I'd climb up the closet shelf
When I was all by my-self
Grab his hat and fix the brim
Pretending I was him

No matter how hard I try
No matter how many tears I cry
No matter how many years go by
I still can't say good-bye

He always took care of Mom and me.
We all cut down a Christmas tree
He always had some time for me

Wind blows through the trees
Street lights, they still shine bright
Most things are the same
but I miss my Dad to-night

I walked by a Salvation Army store
Saw a hat like my daddy wore
Tried it on when I walked in
Still trying to be like him

No matter how hard I try
No matter how many years go by
No matter how many tears I cry
I still can't say good-bye

  1. 2007/08/02(木) 03:37:18|
  2. 音楽|
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