3年越しのホームシック 私の地元大分県、四方を山に囲まれた盆地に祖父の家はある。未だ携帯の電波の届かぬところだ。庭にある鯉の泳ぐ池を抜け、山道を少し歩くと緑に囲まれた小川に出る。清流と呼ぶには程遠いが、まぁそれなりに川遊びができる。鳥取に出てくるまでは、夏休みの度に祖父家へ遊びに行き釣りをしていた。大物がいるわけではないその川で、何も考えずに糸を垂らす。名もなき川は、いつしか私の原風景へとなっていった。

一昨日(8月12日)は先生に連れられ、ゼミの4年生全員と
雑魚釣り兼バーベキューをしながらの夏休み卒論課題設定会議をおこなってきた。凄まじい強風の中、まず、ザコツリストA教授を師匠に、未経験のはるのさんととまとさんはハリスの結び方などをレクチャーしてもらっていた。風邪ひきけんボーと私はその補佐をしながらバーベキューの下準備をした。3本の竿の準備が整い、入水。餌となる川虫を探す。モスラの幼虫のミニバージョンを前に、女の子二人は落ち着いていた。なかなか肝っ玉が据わっている。とまとさんにいたっては、時間が経つにつれ「かわいい」という言葉がでてきたほどだ。餌のつけ方を教わり、流れのゆるいポイントを狙って竿を振る。ザコツリストの針が獲物を捕らえた。なかなか幸先のいいスタートだった。しかし、それからが大変だったらしい。荒れ狂う風のおかげで、竿を振るたびに釣り糸が絡まっていたのだそうだ(ちなみに私は一人別のポイントで、ゆるゆると糸を垂らしていた)。

↑アブラハエの大物をゲット ↓めったに釣れないシラハエの雄

と、すったもんだがありながらも釣果は上々。全部で19尾釣り上げることができた。初体験のとまとさんは大物を釣り上げ、はるのさんは彩色豊かな雄のシラハエ(オイカワ)を釣り上げることができた。日も暮れたので川からあがり、けんボーをコックにバーベキューを始めた。山の緑、川の青、夕暮れの藍と炭火の赤が入り混じる風景に、はるのさんは「いい、いいわぁ」としきりに感心していた。我々は、A教授から出された夏の課題と不安を胸に、帰路についた。
遠くで花火の音が聞こえる。鳥取市の夏を彩る市民納涼祭の花火だ。火花が散るたびに心の中にある一つの思いがわいてきた。鳥取へ来て3年ちょい。初めてのホームシック。病んでるなぁ。(チャック)


↑この日の収穫。↓シラハエ(オイカワ)の雌(上:教授ゲット)と雄(下:はるのさんゲット)

学生さんたちは、放っておくと学問を回避する。だから、川に集まってもらった。盆休みのあとベトナム出張と続き、こんど帰鳥するのは9月初め。それまでになんとか卒業研究の基礎作業を進めてもらいたい、と思い、4人それぞれに課題を出した。大学生であるという「幸せ」な期間はあとわずか。卒業研究〆切の1月末は目前です。
バーベQを終え、そのまま奈良に向かって発進した。志戸坂峠を越えたあたりから猛烈な睡魔に悩まされ、結果、加東市の兄の家で休ませてもらった。兄は鳥取環境大学の改革案を熱心に説いてくれる。外にいると、なんだって言えるからね。ちなみに、いま鳥取県に必要なのは「教育学」だから、環境大に教育系の学科を作れ、というのが兄の持論。
日付が変わって、ようやく奈良の自宅にたどり着いた。さっそくハエを唐揚げにした。シラハエの雄は綺麗だが、じつはあまり美味しくない。雌に比べると、硬いんです。シラハエの雌かアブラハエのチビがおいしい。(浅川)
- 2007/08/14(火) 02:08:19|
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