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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

村長との対話-越南浮浪(Ⅳ)

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 「やる気」と「実績」は比例するものだ、と信じてこの大学3年間頑張って来た。そしてその「実績」はそこそこの評価を得ることができたと思っている。その度、自分の力を信じて、更なる発展を目指した。しかし、今日はその信念を根底から覆させられた。やる気があっても全く思うように事が運ばない。なんと、本日わたくしMr.エアポートは食中毒にあたってしまった。どうやら朝食の牛乳が原因であろう(他の5名は牛乳を飲んでいない)。

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 朝8時にホテルを出発し、10時に調査地であるクア・ヴァン村に到着。本日は4つのグループに分かれ調査をおこなった。
 1)某准教授と通訳のMs.ファンは村の第3グループでヒアリング調査(本日の成果は10軒。昨日より少なかったのは、単純なアンケート票の回収ではなく、突っ込んだヒアリングをしたため)。
 2)ハルさんは遊覧船2階のデッキで水上集落のパノラマ・スケッチ。今日は自然地形だけ墨で描いた(↑上2枚の写真)。
 3)某院生とひらちゃんは測量。昨夜、ベンチマークのデータが昨年のデータとずいれすぎていることが判明。再びお寺のベンチマーク座標採り直しからスタート。これには院生を心配して、教授も加わった。データは昨年チャックが使ったハンディGPSと今年購入したDGPSで近似値を示したが、やはり昨年のデータとは大きくずれている。次に基準点の移動。第2のベンチマークを小学校に設けることにした。トランシーバーを使いながら、小学校のベランダにベンチマーク№2を設置したが、学校もまた筏にのっているので前後左右上下の揺れは止めようがない。№2から対岸の第3・4グループ(集落)の座標データをとった。家屋にして約30棟、側点は自然地形を含めて約100ポイント。さらに、コミュニティ・センターと途中の船着き場(デッキ)のGPSデータもとった。

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↑寺の前庭から小学校を見通す ↓小学校で第2基準点設定
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 4)わたしは実測担当。何を隠そう私は、各種調査の中でも実測が大好物である。実測を通して、その建築の構造的特徴や生活習慣が見えてくる。また実測後、そのデーターをもとにCADで図面を作成する際、すんなりと図面を起こせたときの達成感を味わうのが最高に気持ちが良い。前日の調査結果をもとに130あまりの筏住居をタイプ別に分けていくつかのタイプを実測した。まずは、午前中に測量基準点移動の作業補助を兼ねて、筏で浮かぶ学校を実測した(職員室と教室の2棟)。職員室は木造寄棟造で倉庫としても使用しており、教室は鉄骨入母屋造。屋根の建物で校舎として使っている。夏休みのため、子供は一人もいない。学校は伽藍としていた。

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 学校の実測は容易と思われたのだが、ここで体調不良に気がついた。妙な汗が額を覆い、腹部がキリキリ痛む。昨晩、ホテルのエアコンが効きすぎて風邪でもこじらせたのかと思ったのだが、激しい腹痛から「食あたり」を疑った。しかもそれに追い討ちをかけるように、隣の筏住居の飼い犬がやたらと吠えて頭に響く。時には、実測中に背後を襲われるかと思うほど忍び寄ってくる。痛む腹部を押さえながらも額の汗をぬぐい実測を続けたのだが、「大好物」と思っていた実測がこれほどつらいものだとは思わなかった。というよりも、「やらねばならぬ」という気持ちに全く体が反応してくれない悔しさと、何で大事な調査中に腹を壊してるんだ!という自分を情けなく思う気持ちに押しつぶされそうになった。昼食後、A教授から抗菌剤(強力な抗生物質)をいただき、しばらくして体調は回復していった。午後からは養魚槽付き筏住居を1棟実測し、本日4時間の調査で、体調不良ではあったが3棟を実測できた。抗菌剤のおかげで、午後は快適な実測時間を存分に味わった。帰国後、すんなりとCADで図面が描けるか楽しみで仕方がない。
 やはり「やる気」と「実績」は比例するものだという信念は曲げたくない。しかし体調管理が十分にできていない調査ほど危険なものはない。「実績」のみが全てではなく、「体調」をふくめ「気持ち」と「技術」の3つである心技体をバランスよく養う重要性を身をもって感じたベトナム調査3日目であった。(エアポート)

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追記

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 午後2時前から村長のチョーさんと面会した(↑)。チョーさんはクア・ヴァン全体の長であると同時に、第2グループ(集落)の長でもある。非常に知的な風貌のご老人で、傍らには前日わたしたちを迎えてくれた娘さんが付き添っている。村長さんの筏住居は2年前に建てた新しいバンガロースタイル。筏住居はメインテナンスが大変だから、古いものでも10年前ぐらいものしかない。たとえば、釘はすぐに錆びてくるし、床板は3年、屋根は5年で替える。また、船を陸地やアンカーにつなぐロープが直径1~2cm程度の細いものなので、劣化しやすく、建物が揺れやすい。建物としての「質」が悪い。だから超大型の台風が来たら、自分たちは生き残れない。そういう建築に対する不満をしばしばお聞かせいただいたあと、2つの質問を浴びせられた。
   1)細長いロープは船で安定させるのは難しい。これを安定させる良い方法はないでしょうか?
   2)最近、漁業の競争が激しく、1世帯あたりの漁獲高が減っている。漁業以外で何か収入を得る方法はありませんか?
 1)については、帰国後、構造力学や海洋物理学の専門家に意見を求め、その回答を遺産管理局にメールでお知らせする、と答えた。
 2)については「観光」だろう、と答えた。とくに、エコ・ツーリズム、カルチュラル・ツーリズムに力を入れるべきではないか。教養のある外国人は普通の観光ツアーではなく、いまわたしたちが研究として取り組んでいる異文化の庶民生活(民俗文化)や自然環境に触れたがっている。そういう人たちを対象とするツアー客を集めるべきだ。さいわいハロン湾は世界自然遺産に登録されており、クア・バンには遺産管理局が建設したコミュニティ・センター(ガイダンス・ミュージアム)がある。そういう好条件を活かして、普通の観光旅行ではない、エコ・ツアー、カルチュラルツアーに力をいれてはどうか?
 この回答に対して、「ありがとう」というお返事をいただいた。

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 そうこうしていると、水上で大きな叫び声が。大型観光船でやってきた中国人客が竹船を漕いで集落内水面を回遊し始めた。暑いので男は上半身裸、女は日傘をさしている。そういう竹船が何艘か水面を動きまわっている。なぜ大声を出すのか、よくわからないが、たぶん船漕ぎ遊びを楽しんでいるのだろう。続いて、欧米人の観光船がやってきた。欧米人はライフ・ジャケットを身につけ、カヌーにのって船遊びをはじめた(↑)。
 エコ・ツアーとかカルチュラルツアーがこういうものだと勘違いしてくれなければよいけれど・・・ (浅川)

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↑仕事を終えて、夕暮れのデッキで飲むビールの美味しさと言ったら・・・



  1. 2007/08/25(土) 23:47:45|
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