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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

中越国境の旅<弐>-越南浮浪(Ⅸ)

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 ホテルを出発して約4時間。ついに中国国境付近に到着した。これからベトナム・中国の国境を歩いて越える。四方を海に囲まれる日本国から海外に出る場合、常に飛行機か船を用いるので、歩いて国境を越えるというのはどうも実感がわかない。しかし、初めての徒歩による入国に気持ちは自然と高ぶる。ベトナム側で手続きを済ませ、歩くこと10秒。足元に何かしら1本線と文字が書かれている。「中国国道322線終点」
 驚いたことに国境とは不気味なほど静かである。ともかく人が少ない。なんというか、県境を越えるぐらいのあっけなさで終わってしまった。その後、中国側の入念な入国手続きが終わり、パスポートに押印されてようやく国境を越えたことに実感がわいてきた。その後、タクシーで昨年末に完成したばかりの高速道路を走り、凭祥(ピンシャン)という町を目指した。

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↑ベトナム側からみた友誼関 ↓中国側からみた友誼関
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 凭祥は人口11万人、面積65万k㎡の都市である。ガイドさんによると、ここ10年で急激な発展を遂げた町らしい。広東チワン族自治区の辺境都市だけあって、居住者の大半はチワン族。教授によると、南方中国の中で最も漢化している少数民族の一つだとのことである。桂林からハロン湾まで連続するカルスト地形が都市を囲んでいる。国境を越えて10分、凭祥に着くとベトナムの建築物との表情の違いに中国に来たというはっきりとした実感がわいた。しかし残念ながら開発が進みすぎており、表通りに古い町並みは全くと言ってよいほど見当たらない。大学で中国建築のさわりを学び、国境付近とあって農村や古い建築が見られるかと期待していたのだが、実際は背の高い近代建築が軒を連ね、せっかくのカルスト地形も建物の隙間からしか垣間見ることができない。とは言え、浅川教授の日本建築の講義を受け、いつか中国を訪れたいという希望自体が叶ったことに満足で仕方がなかった。見るもの全てが初めてなので一人デジカメを片手にはしゃいでいた。それでも都市開発の進みように先生方はややガックリしている感じ・・・

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↑中国側のカルスト地形。セメントの材料となる石灰岩の採掘場となって削られている山も少なくない。


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 昼食は、もちろん本格的な中華料理。同行されたHさんは肉ピーマン炒めがお気に召したようで「ピーマンが美味しい、美味しい」の連呼でした。
 昼食後、市場や街並みを見学し2時間ほどで再度国境を越えベトナムに戻った。
 じつは、中国側でチワン族の農村を訪問したい、と希望したのだが、ガイドさんによると難しいとのことで、ベトナム側の農村を訪問することにした。そして再び国境の出入国手続きへ。

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 ベトナム側の国境周辺は中国とは違って農村が広がっている。そこで、国道を外れ、ケーゴン(KyCung)川に沿って車を走らせた。ケーゴンの赤い流れは中国に水源があり、いったんベトナムに流れこんで、再び中国にもどる。この蛇行流に沿って車を走らせた。Hさんは車の窓をあけ、パシパシ写真を撮り続けている。さすが「景観」を専門とされる方だと感心した。窓外には、カルストの山々、棚田、赤い川の流れ、そして集落が入れかわり立ちかわりあらわれる。
 ナタオ(NaTau)という村で車を停めた。タイ系のヌン族の村。稲作や穀物の栽培、豚や鶏などの家畜をして生活をしている。水牛が多く、道を歩いている姿や水牛を使って田んぼを耕している姿もみられた。かつては高床住居に住んでいたのだろうが、いまは漢族的な平屋の家屋を住まいにしている。民家の内部では、乾燥させたトウモロコシを手動のコーヒーミルのような機械で芯から実を分けていた。他にも漁具やカマド、祭壇などの生活の様子が見ることができた。屋根構造はのぼり梁と穿斗式構造を併用している。中国でもベトナムでもいろいろな発見があって非常に面白い中越国境ツアーであった。(エアポート)


 以下はナタオ村(ヌン族)の写真。
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↑集落全景

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↑漢化?したヌン族の民家外観 ↓登り梁の尻(遊離尾垂木をイメージさせる)
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↑民家内部。 ↓トウモロコシの実をそぎとる道具
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  1. 2007/08/29(水) 23:44:03|
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