
御茶ノ水駅から外にでた瞬間、「あっ、ここか」と思いだした。
ギターを愛するみなさん、わたしは御茶ノ水の楽器屋さんを冷やかすために東京まで出張にいってきたわけじゃありませんよ。資料集めのために某私学を訪問しようと、アクセスマップを頼りに動いていたら、たまたま御茶ノ水で下車することになったんです。
東京は賑やかでよろしいね。楽器屋さんだらけの町があるんだから。
ハノイのようなインチキな店はありませんしねぇ。御茶ノ水の場合、なんと言っても目をひくのは、マーチンの代理店「クロサワ楽器」。いったいいつ以来だろうか、この街を歩き、この店に入るのは。
某私学での集合時間まで少し余裕があったので、店を冷やかした。マーチンは2階にまとめて陳列してある。そこの壁一面に「アルハンブラ」というメーカーのフォークギターを発見。その名のとおり、スペインのメーカーで、もちろん元はクラシックギターのブランドなのだが、フォークギターも作るんだ・・・手に取る余裕はなかったけれど、帰りにもういちど寄ってみようと決めた。

仕事は午後5時に終わった。もちろん何軒かの楽器屋さんを冷やかした。わたしの憧れグレッチがずらりと並んでいる店があった。チェット・アトキンスモデルも束になっておいてある(↑)。いちばん高いのは210万円だって。ショウケースの向こうに陳列してあって、もちろん買えるわきゃありませんし、さわらせてももらえない。あの、アームをビヨョ~ンと振動させて、軽やかなカントリーを弾いてみたいもんですね。
最後にクロサワ楽器に戻って、もういちど2階のマーチン・コーナーに。アルハンブラというメーカーのフォークギターに期待を寄せていたんです。限りなくクラシック・ギターに近いフォークギターを生産しているんじゃないか、と。
その旨、若い係員にお伝えしたころ、
「いや、ネック細いですよ、アルハンブラは」
の一言。これで、もうアルハンブラを手にとる気はしなくなった。
「ネックが太いのは、これですね」
と言って、その若い店員さんが指で示したのは、ほかならぬマーチンでありました。製品番号も愛称もなんにも控えてないんですが、なんでもいちばん古いタイプのマーチンでして、ボディは小型のクラシックギター風。巻きねじもね。で、スティール弦が張ってある。「弾かせてもらっていいですか」と問うと、若い店員はためらいの顔をみせながらも、「いいですよ」と答えて調弦してくれた。

引き心地は抜群でしたね。最近、毎日クラシックギターで練習しているから、フォークギターが弾きにくくて仕方ない。ヨークもバッハも指を直角に立てなきゃ弾けないような和音がいっぱい出てくるんで、細いネックは駄目です。人差指から薬指までの3本で3声の和音を押さえながら、6弦を小指でハーモニクスなんて普通の技ですからね。こういうプレイにネックの細いギターはまったく合いません。
だからね、スティール弦のギターもネックの太いものがよいと思うようになってきたんですね。この古いマーチンの値段は41万円なり・・・買うわきゃないわね。
わたしは楽器を買わない。今年は絶対に買わない。懐がさみしいだけじゃないんです。昨年の秋、先生に訊いたんですよ。
「もうちょっと高いギターを買ったほうがいいでしょうか?」
すると、先生は答えました。
「いまのレベルなら、そのギターで十分ですよ。そのギターだって、
全然悪くないですから。」
たしかにそうだ。ギターを弾けるようにならないと、ギターを買っても意味はない。ちゃんと弾けるようになりたい。でも、時間が足りません。
- 2008/01/30(水) 01:34:01|
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