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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

レッティン・ゴー(Ⅱ)

 「レッティン・ゴー」に続く第1部の2曲め「アルバイシンの丘」も快調だった。ところが、3曲めの「キンダーライト組曲」から、ヨークは調弦に悩まされ始める。とくに3弦。フレーズとフレーズのあいだの短い休息を使って、巻きねじに手をやるシーンが目立つようになった。1度や2度ではなく、ひっきりなしにチューニングの微修正を試みる。3弦だけではなく、2弦や4弦にもそれは伝染していった。うぅぅん、これはやはり、いささか興ざめの感が否めない。弦がまだ安定していないのだろう。いったい、何日前に弦を張ったのか・・・とても期待していた「マイ・フェイバリット・シングズ」でも調弦の不安定さは納まらなかった。
 それでも第1部最後の曲、つまり「マーリーの亡霊」のころには弦も安定するようになってきた。この曲は、ほんとうにおもしろい。ジャズやブルースをアレンジして演奏するクラシック・ギタリストがいないことはない。しかし、レゲエだからね、この曲は。しかも、レゲエの曲をアレンジしたのではなくて、レゲエをイメージさせる作品をコンポーズしているのだから、凄いの一言だね。もちろんじっと指の動きをみつめていた。すでにわたしはこの曲を暗譜している(つもり)。しかし、どうしても弾けない部分があって、楽譜の指示とは異なる指使いで誤魔化している。そこをヨークはもちろん楽譜どおり弾いてみせた。高速のコード・ポジション・チェンジ。もうすこし練習すれば、ヨークと同じ指使いができるようになるだろうか。

 さて、上にみたように、ヨークはたんなる演奏家ではない。ギタリスト=コンポーザーであるところが、最大の魅力であろう。自分で作曲した曲を自分で演奏する。軽音楽の世界では自然な行為がクラシックの世界では自然ではない。作曲とギターを学び、両者を合体させて実践する。ヨークとディアンスが、ロックやジャズで育った若い世代に指示される所以である。

 第2部は門光子さんという女性ピアニストが登場。1曲めは門さんのためにヨークが書いたピアノ・ソロの曲「祈りと踊り」。続く2曲めの「サクラ変奏曲」は門さんとヨークの共演。ここで問題発生。PAのバランスに難あり。客席ではほとんどピアノの音しか聞こえなかった。まれにギターの音が前にでることもあったが、PAで拡声された音声は第1部で「魂が癒される」と感じた生ギターの音ではなかった。こんなギターの音を聴くために、わたしたちはヨークを聴きにきたわけではない。それから3曲ソロに戻り、またマイクなしとなって、ギターの生音を聴いた。ほっとした。しかし、最後の「サンバースト」ではまたピアノとの重奏になり、ギターの音が聞こえなくなった。ソロの「サンバースト」が聴きたかった。ヨークが弾くソロの「サンバースト」・・・聴きたかった。


 門さんという女性ピアニストが悪いわけではない。ヨークの目にかなう方なんだから大変な音楽家なんでしょう。しかし、PAが悪かった。しかししかし、PAが良かったとしても、拡声されたギターの音には幻滅したであろう。村治佳織が使っているMSデジタルPAシステムではなかったのかな。

 ご存じのとおり、ヨークはロサンゼルス・ギター・カルテット(LAGQ)を脱退し、ソロと作曲に打ち込んで、新しい音楽に挑戦すると宣言したばかり。今回のピアノとのデュオも、その新しい試みの一つなんだろう。ただ、多くのファンは時間を巻き戻したいと思ったのではないか。LAGQでのアンサンブルが聴きたい。「サンバースト」のソロが聴きたい・・・昔ながらのヨークで良~くないかい、なんちゃって。

  1. 2008/02/06(水) 00:19:23|
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