いつぞや京都駅の
ラ・タンで某ディレクターと密談したお話をしましたが、あれは「青谷上寺地遺跡集落復原CG指導」の依頼だったんです。オドロキ、モモノキでしょ。これまでの発掘調査で弥生時代の建物跡が数棟しかみつかっていない遺跡の「集落」を復原しようという試みなのだから、無謀というほかない。話を伺った瞬間、「やめよう」と思ったんです。某研究所時代のわたしなら完全に撤退していたでしょうが、ご時世も変わり、わたしも変わり、いろいろ考えたあげく、1週間後には「承諾」の返事をしました。しかし、この作業はわたし一人でできるわけはないので、県の関係者と「ワーキング・グループ」を作って臨むという条件をだしたんです。
建物跡が少ないとはいえ、これまで発掘調査した遺構・遺物から最大限の情報を引き出して青谷上寺地の集落イメージをふくらませる一方、山陰の弥生集落論との不適合を少なくすることがまずは肝要であり、さらに建築部材による復原研究をふんだんに取り込むことに努めました。
結果はまぁまぁというところじゃないでしょうか。寺町のNHK(新居の近所)や大学の演習室でなんどか打ち合わせがあり、昨夜NHKで最終校正を終えてきました。
番組名と放送時間をお知らせしておきます。
番組名: 人間国宝 弥生の謎に迫る
~青谷上寺地遺跡 木製品1万2千点の世界~
放送日: 2008年 2月17日(日)
PM 10:00~(59分) NHK教育テレビ
ちなみに、「続き」を読んでいただければ分かりますが、この番組は「人間国宝の方々が弥生の木器制作に挑戦する」ことに主旨がありまして、集落のCGはその余興のようなもの?です。が、3分ばかりのCGに現在までの調査&復原研究の蓄積が圧縮されておりますので、乞ご期待!
なんちゃって、
アンテナのないわが家では番組がみれないのね、とほほ・・・・

↑教授作「集落配置エスキス」のver.3。さらにバージョンアップしていきました・・・
番組概要 http://www.nhk.or.jp/etv21c/index2.html
鳥取県の弥生遺跡・青谷上寺地遺跡は、土壌が特殊な粘土質のため、普通なら腐ってしまう木器・鉄器・人骨が大量に出土、三内丸山級の価値を秘めた「弥生のタイムカプセル」といわれる。
一方、稲作に不適な狭隘(きょうあい)な湿地から1万2千点もの精巧な木器が出土したため、その「謎」に考古学界の関心が集まっている。誰が、何のために、どうやって美しい木器を作ったのか。そしてこの集落はどんな役割を持つ村だったのか。
その謎を解こうと、出土した木器の復元に3人の人間国宝が挑もうとしている。川北良造、村山明、中川清司という国内最高峰の木工芸作家たちだ。さらに気鋭の考古学者たちが協力に名乗りを挙げた。
人間国宝の強い希望で、ノミや小刀など工具も遺跡出土鉄器の復元品を使う。その気迫の作業から弥生人の「木」への造詣が読み解かれ、さらに日本人がなぜ「木の文化」を作りあげたのか、原点が浮かび上がる。
一方、学者達の最新の研究は、この遺跡が高い技術を持った日本最初期の「職人」が活躍する場だったこと、材木など原材料の搬入・加工品の海上輸送を最優先の機能とする「工房中心の集落」だったことを明らかにしつつある。従来の稲作中心の弥生時代観から、新たな一面が見えてくる。
番組では、人間国宝の復元を通して、青谷上寺地遺跡の謎をひもとくことで、新たな弥生時代の一面を提示するとともに「モノ作りの国」そして「木の国」である日本の原点に迫る。
- 2008/02/08(金) 00:23:22|
- 史跡|
-
トラックバック:0|
-
コメント:0