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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

板井原 -豪雪地帯を往く(Ⅰ)

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 2日の日曜日、よく晴れていたので、遠出することにした。あるプレゼンテーション用の写真を撮影するために、智頭町の板井原をめざした。鳥取から河原のあたりまで残雪もほとんどなく、小春日和で良い気分だった。用瀬を過ぎて智頭に近づくにつれ、田んぼが真っ白に変わっていった。道路に雪はない。しかし、路肩と田んぼに根雪がどっさり残っているのだ。
 ヤな予感がした。もう5年ばかり前のことになる。智頭でちょっとした仕事があり、ついでに板井原をひやかそうとした。智頭の町では雪が薄く積もっていた。しかし、湿気の多いべちゃべちゃの雪で車の運転にほとんど支障はなかった。そのまま板井原をめざして、山道を上っていったのだが、途中でアイスバーンになり、車が動かなくなってしまった。情けないことだが、わたしは智頭町役場に電話し、救援を求めたのだった。もちろん4輪ともスタッドレスにしていた。しかし、車輪は氷の上で空回りするだけ。救援者の指示に従い、クラッチをニュートラルにしたりローにしたりしながら、少しずつ斜面を下っていった。事故にはならなかったが、生きた心地はしなかった。

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 その山道をまた上っていった。路肩の根雪は大変なものだった。しかし、路面は凍っていない。だから、今回はなんとか板井原の駐車場まで辿り着いた。雪深い里に訪問客が結構いる。高級カメラをもつ男性数名と椅子に腰掛けてスケッチする女性たち。小春日和の日曜日がねらい目なんだな。雪が降れば道は閉ざされる。暖かくなれば村から雪は消えてしまう。芸術的な雪景色をフィルムかスケッチブックに引き写そうとするならば、こういう日に賭けるしかないわけだ。
 わたしは板井原という集落を、建築的にはそれほど高く評価していない。ただ、この日の雪景は見事だった。一人で来たのが残念で仕方ない。だれかを誘えば良かった。この美しい雪景をだれかにみせてあげたかった。

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 渓流の対岸にある「野土香」という喫茶店で一休み。もちろん民家を改装したお店である。軒先をうろうろするのだが、どうしたら中に入れるのか分からない。すると、女性の店主が窓から顔を出し、「反対側にまわってください」と声をかけてくれた。
 その言葉には関西の訛りがあった。お店に入り、抹茶黒胡麻入豆乳を注文した。清らかな渓流を眺めながら、暖かい豆乳を少しずつ飲む。やはりだれかを連れてくれば良かった。連れてくる誰かのアテがあるわけではないのだが、雪渓をみればみるほど、そういう想いが強くなっていく。
 女性店主と話をしたわけではない。隣に坐った男性たちが質問するのを黙って聞いていた。

  「ここ、何年めですか?」
  「初代の人が3年で、わたしが3年、あわせると6年ですね」

 やはり関西訛りの言葉使いだった。(続)

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  1. 2008/03/05(水) 00:22:44|
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