fc2ブログ

Lablog

鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

旧美歎水源地でのゼミ

水源地01

 鳥取市に所在する建造物で3件目の国指定重要文化財となった「旧美歎水源地水道施設」を見学した。参加者は浅川研の9名で、またしても、鳥取市市文化財課のSさんとMさんにご案内していただいた。じつは、旧美歎水源地は教授が研究所時代に調査し、その成果を含む報告書『鳥取県の近代化遺産』を1998年に編集されている。

 旧美歎水源地は水源地のシステム全体が残る土木遺産である。施設は大正4年(1915)に竣工、大正7年9月の大雨により堰堤が決壊、大正11年に現在の堰堤に改修された。それから約50年の間、鳥取市民に水を供給し、昭和53年(1987)に水源地としての役割を終えた。現在、堰堤は平成10年に改修工事を経て砂防ダムとして機能している。

20080523224454.jpg



20080523224501.jpg
<旧美歎水源地のろ過池施設>



水源地02

 まず正門前の人道橋で施設の概要を説明していただき、見学がはじまった。正門を抜けると広場があり、正面奥は高台になっている。広場の右手側は事務棟、左手側は砂洗い場があったというが、いまは空き地になっている。高台へ進み、ろ過池、調整井、接合井をまわった。5つあるろ過池のうち、1号・2号ろ過池には水が溜まっており、稼動時の姿を偲ばせる。ろ過池にはそれぞれ調整井が付属し、各調整井から集水する接合井へと送られる。そして、人道橋の側面に備え付けてある水道管を通り、樗谿にある上町配水池に送られていた。調整井、接合井にはそれぞれ建物が付属している。建物は煉瓦造モルタル塗りである。壁面のモルタルは短冊状の鉄骨材をリベットで接合、メッシュを貼ったうえで塗り固めている。そのため、中の鉄材が錆びつき、膨張することでモルタルが剥離している箇所がみられる。劣化が激しい2号調整井、接合井の建物は覆屋で囲み保護されている。旧美歎水源地は平成30年度までに保存整備を終える計画があるのだが、モルタルや鉄骨材の劣化は大きな課題となっており、修復方法を模索している最中だという。次に、貯水池へ向かい、色々な角度から堰堤を見学した。堰堤は、砂防提へ改修するため、堰堤の内部はコンクリートで補強され、当初より厚みが増している。堰堤からは、土塁で作成された先代の堰堤の取水口跡が見られる。最後に、量水器室へ向かい、室内にある量水器を覗かせていただき、旧美歎水源地の見学を終えた。

20080523224446.jpg
<↑調整井建物の装飾  ↓貯水池の堰堤>
20080523224509.jpg

 旧美歎水源地の施設構成はシンプルで、こんな設備でいいものかと思うけれど、現在使われている急速ろ過方式と変わらない働きをするのだという。ただ、シンプルなだけあって、劣化した建物の修復には手を焼きそうだ。修復するには当初の姿に手を加えなければならい。そのため、当初のものを残したまま、どこまで手を入れるかという判断が重要となる。調整井や接合井の建物には、軒や屋根に細工が施してある。修復する際はできるかぎり当初の姿が残って欲しい。最後に、旧美歎水源地というノスタルジックなものの隣に、広域農道が新設されてしまい景観が冴えない。剥き出しのコンクリート地だけでもどうにかできないものだろうか。(某大学院生)

水源地03擁壁
↑広域農道に伴う擁壁が自然景観・文化的景観を破壊している
たこ焼き01
↑2週連続のたこ焼き屋さん「大幸」です。


  1. 2008/05/24(土) 00:07:54|
  2. 建築|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0
<<薬研堀慕情(ⅩⅩⅩⅩⅢ) | ホーム | 第6回「魔法の山」 -谷口ジローの風景->>

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://asalab.blog11.fc2.com/tb.php/1419-7178e02a

本家魯班13世

01 | 2024/02 | 03
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 - -

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Archives

Category

Links

Search