もう1ヶ月以上前のことになるが、5月26日(月)から30日(金)までの5日間、産経新聞大阪本社夕刊で「神遷る 出雲大社」というコラムが連載された。担当は山崎さんという松江支局の記者で、いちど電話取材を受けた。
わたしのコメントは5月29日(木)の第4回の掲載されている。文化財に関わるメディアの報道は、とかく誇大になりがちだが、この記事は抑制が効いていて感心させられた。某研究所で長く発掘調査現場の記者発表をおつきあいした経験から言うと、記者さんたちは担当者の発表やコメントの前からすでに記事を書いている(書いていないと、翌日の朝刊に間に合わない?)。その記事に、わたしたちの発言をあわせていくので、内容を読んで愕然とすることがしばしばあった。それに比べると、このコラムはきわめて健全である。
たとえば、出雲大社境内遺跡で発見された
大型本殿(鎌倉初期)については、
「構造的にみて48メートルの建物は建たないが、40~41メートルは
あったはず」と冷静だ。
式年遷宮にともなう
現本殿の公開の感想についても、
「今まで図面でしかわかりませんでしたが、目でみたのは初めて。
(ご神体のある)内殿は切妻、妻入りではなく、大社造とはまったく
違いました。正面左奥の小さな祠のような客人座など新しい発見も
ありました。とにかく、研究者として中が見られて安堵しました。」
という記載で、わたしの発言がよく伝わっている。よく伝わらない記事が多いなかで、よく伝わる記事を書いていただいたことに感謝したい。

- 2008/07/07(月) 12:42:29|
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