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鳥取環境大学 環境情報学部 建築・環境デザイン学科 浅川研究室の記録です。

続・ユーロのロシア

 いや、恐れ入った。ロシアは優勝候補最右翼のオランダを3-1で下し、ベスト4へ進出した。かたちだけは延長戦まで突入、ということになっているが、実質上はオランダの完敗である。120分間、つねに優位に立っていたのはロシアだった。
 オランダは主力をルーマニア戦で温存し、休養十分。なのに、まったく動けない。対して、中2日で試合に臨んだ白いユニフォームのロシアはグラウンドを縦横に駆けめぐった。
 画面をみていると、よく分かる。オランダはボールをもっていない選手がみな歩いていた。ロシアは必死で走っている。この差は致命的にみえた。延長になったら、ロシアは疲れて動けなくなるだろうとも思ったのだが、結果は逆で、オランダの足が完全にとまってしまった。

 わたしは昨日の予想で、ロシア対オランダ戦はオランダが勝つと予測した。これは、ドイツW杯における決勝トーナメント1回戦、オーストラリア対イタリアが頭に残っていたからである。いくらヒディンクが率いていても、1枚も2枚の上の相手をそうそう簡単に下せるものではない、と判断していたのだ。
 ヒディングは韓国代表、オーストラリア代表のいずれの場合でも、後半25分すぎから、ディフェンダーを削って攻撃的な選手を次々に投入し、相手チームを逆転ノックアウトし続けてきた。しかし、この作戦はイタリアに通用しなかった。イタリアの場合、90分中、意識的に攻撃しようとする時間は限られている。おそらく80分前後は守備に徹しているので、いくら攻撃的な選手を相手が増やしても効果がないのである。
 イタリアの伝統は4-4-1-1システム。この4-4というのは、やや大袈裟ながら、4バックが2列並んでいると思えばいい。パチンコの釘が自軍のあちこちにはりめぐらされているようなもので、どんなに攻撃的な選手をたくさんつぎ込んでも、どこにもスペースはなく、かならずどこかの釘でボールははねかえされるようになっている。そして、わずかな隙を狙い、1点を取りにいく。これで試合は終わる。イタリアは退場者を1名だしながら、ヒディングのオーストラリアを葬りさった。それは知恵くらべで、リッピがヒディングに優ったということにほかならない。

 しかし、ファンバステンはリッピではなかった。ファンバステンは試合前の会見で、「いつものように攻撃的な試合をして勝てればいい」とだけ述べていた。余裕綽々のコメントだ。ヒディンクの戦術は見事だった。
 今回のロシアは攻撃的なチームだ。しかし、ただ攻撃的というわけではない。自分たちのアタックが終わった瞬間、1トップを残す他の全員が疾走して自軍にもどる。ここで、あたかもイタリアのカテナチオのような守備組織を作ってしまう。釘だらけのパチンコ型守備網が完成し、スピードのあるオランダの選手がまったく機能しなくなってしまった。その代表がカイトであり、カイトの交替で出場したファンペルシーであった。ロッベンは出場機会さえ与えられなかった。



 WOWOWの現地解説を務めた野口(元平塚)は、「いまはオランダの時間ですね」とか「オランダの攻勢が続いています」とか、「前半は五分五分か、オランダに分がありました」とかノーテンキなコメントを繰り返すので、なんでこんな目のない男を解説者にするのだろうか、と呆れていたところ、ハーフタイムになって、日本のスタジオにいる北澤豪が野口にくってかかるように質問をした。その表情は険しかったが、まったくもって北澤は正しい。一例ではあるけれども、前半のコーナーキックの数だけをみても、ロシアが5本、オランダが1本である。ロシアの優勢は前半からあきらかだった。
 おそらく、このことにファンバステンも気づいていたのだろうが、修正すべき方法が浮かびかねたのか、不可解な時間に不可解な選手交替を繰り返し、後半の早い段階で3人の交替枠を使い果たしてしまった。
 リッピならどうしただろう。いや、わたしなら、どうしたか・・・
 あのロシアの10番、27歳のアルシャービンを潰しにかかるしかなかったのではないか。オランダはロシアをなめてかかっていて、危険な選手に対する警戒心をまったくもっていなかった。横綱相撲をとろうとしているようにしかみえなかったのだが、その横綱たちをアルシャービンが蹂躙した。あの選手は一人では抑えられない。ロシアのマラドーナだ。すくなくとも、アルシャービンがボールをもったらグループで囲いこむ約束をつくるか、あるいはアルシャービンにマンマーカーを用意するか、のどちらかをしていれば3点も取られることはなかっただろう。それでもPK戦にもつれこむのが精一杯だったろうが。

 喜んでいるのはイタリアだろう。イタリアはスペインの揚げ足をとり、オランダともう一度対戦する覚悟をもっていたはずだ。その相手はロシアに変わった。しかし、ただのロシアではない。ヒディンクのロシアだ。そして、イタリアにリッピはいない。
 ヒディンクのリベンジに期待したい。ドナドニに監督業の何たるかを教えてやれ!




  1. 2008/06/23(月) 00:26:27|
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