
アローハ!
みなさん、すでにお気づきでしょうが、今回の練習会でわたしが纏ったシャツは故江口一久さん
遺品の一着であります。たぶん、カメルーンのシャツだと思いますが、とりあえず、アローハ!
今回、わたしがソロで演奏する予定であった3曲は、
1.イサ・レイ(インストルメンタル)
2.京都慕情(ヴォーカル付)
3.ムーンタン(インストルメンタル)
でした。が、セッツァンが連れてこられた女性ボーカリストIさんと素早く交渉し、「京都慕情」を歌っていただくことになりました。心配だったのはキーですが、幸か不幸か、わたしの出番の前で休憩となり、音あわせしたところ、やや低めだったかもしれませんが、大きな問題はなく、一度だけの練習で本番に臨むことになりました。
1.イサ・レイ Isa Lei では、もう一度、アローハ!
わたしがハワイアン・スラッキーギターに興味を抱き始めたことは、本年
2月15日の記事でお知らせしている。あのころはケオラ・ビーマーの教則DVDしかもっていなかった。その後、2冊の教則本(楽譜付)を取り寄せた。かつて述べたように、ハワイアン・スラッキーギターの調弦はワヒネ(女)系とタロパッチ(タロ芋畑)系に大別される。後者はオープンGチューニングなので、あまり興味が湧かなかった。前者は開放弦でmaj9thもしくはmaj7thの響きがあり、なんとも心地よく、今回はFワヒネ・チューニング(CFCGCE)の曲に挑戦した。
「イサ・レイ」はフィジーの代表的な民謡。どうやら送別の曲らしい。そんなことも知らないまま、トップにもってきた。アレンジはケオラ・ビーマーで、教則本
Keola Beamer Teaches Hawaiin Slack Key Guitar の1曲め。5弦と4弦の開放弦を反復させるドラミングのようなオルタナティヴ・ベースの前奏からすでにポリネシアンの匂いがぷんぷん漂っている。
演奏は簡単なようで、そうでもない。基本的に3コードの曲だが、Fコードポジジョンは開放弦の位置ながら、B♭コードはFコードを5フレットに平行移動したセーハが基本であり、その結果、7フレットや9フレットを小指で押さえるフォームとなる。これが結構きつい。小型のギターを使おうとも考えたのだが、今回は久しぶりにモーリスS92にご登場いただいた。弦も張り替えた。おかげで、低音がよく響いた、と思っているのだが、客席でどう聴こえたのかは分からない。
譜面台に楽譜をおいて演奏したのだが、まったくみなかった。おかげで、少し間違えてしまった。
2.京都慕情 どういうわけか、ある日突然、演奏したくなる曲がある。たとえば、第4回練習会で披露した「
やさしく歌って」がその代表かな。また一時期、スティーリー・ダンの「ドゥ・イッ・アゲイン」か「ドクター・ウー」をギター1本で演れないものか、と研究していたのだが、なかなかうまくアレンジできなかった・・・
今回も、ほんとに、ある日突然、「京都慕情」が演奏したくなった。なぜ「京都の恋」ではなく、「京都慕情」なのか自分でもよく分からない。
じつは、この曲を紹介する際、「一人ベンチャーズを演ります」と言って、客席をドキリとさせようと思っていたのね。たいていのアコギ・フリークなら、古川忠義の『Solo de VENTURES (ひとりベンチャーズ)』のなかから1曲演奏すると思うでしょ。ありゃ、なかなかのもんですからね。しかし、実際はそんな難しい曲を演奏するわけではなく、渚ゆう子の「京都慕情」の弾き語り、という落ちにしたかったわけ。ところが、セッツァンが素晴らしい女性ボーカルを連れてきちゃってまして、ちゃっかり出演交渉をしたら、いったん躊躇されたんですが、なんとかOKをいただき、休憩時間に音あわせして準備完了。
若い読者のために説明しておきましょう。「京都慕情」("Reflections in A Palace Lake")は林春生作詞、ベンチャーズ作曲で、1970年に渚ゆう子が大ヒットさせた歌謡曲です。恋をした切ない乙女心を京都の名勝地に絡ませて歌う哀愁のバラードなんですが、ベンチャーズの作曲だけあって演歌っぽくないのね。欧米人が日本の歌謡曲のスケールやコード進行を学んで作った演歌風ポップスってとこかなぁ・・・

さて、2曲めからギターはホセ・アントニオ、調弦はダブルドロップDに変更。これは、前回の「サンバースト」における「さすらい人の子守歌」と同じ位置づけです。今回のメインは「ムーンタン」でして、その指使いの練習として「京都慕情」をダブルドロップD調弦でアレンジしたということ。はっきり書いておきますよ、「京都慕情」の編曲はわたしです。
イントロは長くてA→A’→B→A’、間奏はB→A’を2回。ボーカルはイントロのあとA→A’→B→A’、1回目の間奏のあとA→A’→B→A’、2回目の間奏のあとB→A’でエンディング。このエンディングの前までは、じつにスムーズに楽しく演奏してたんですね。良いボーカルのバックを務めるのは快楽だねぇ・・・ところが、エンディングに用意していた人工ハーモニクス(B→A’)でどじってしまった。ふだんなら楽々弾けるのに・・・やっぱりアガッてました。で、フィナーレに入ろうとしたら、いきなり大拍手を頂戴してしまった。
「早い、早い・・・まだ終わってません・・・」
とわたしはひと言釘をさしたのだった。Gsus4をジャラ~ンと弾きおろして、すこし余韻をもち最後にGコードの12フレットを右手でタッピングしてハーモニクスを響かせ終わりにしていたので、そこだけやり直させていただいた。
いや、ボーカルは素晴らしい。自分で歌っていたら、あんなに拍手がもらえたはずはありません。また、歌伴やりたいよん。
3.ムーンタン Moon Tan 前回ようやく「
サンバースト」を弾き終えたのだが、そのときすでに「ムーンタン」の練習を始めていた。わたしが「ムーンタン」を最初に聴いたのは十年ばかり前で、もちろん木村大『ザ・カデンツア17』(1999)の1曲めである。このブログに最初に登場したのは昨年
6月13日の「峠のカデンツア」。
そこでわたしは「こういうギターが弾いてみたいか、と問われれば、即座に『弾けません』と答えるしかない。これは無理だ・・・」と書いている。わずか1年前のことなんだな。その後、You Tube で木村大の演奏を視た。ビートたけしのバラエティ番組で木村は「ムーンタン」を演奏している。静かなアルペジオ部分は省略し、ライトハンド奏法とタッピングを前面に押し出した2分ばかりの演奏で、その凄まじい技巧を今田耕司が呆然とみつめているシーンが印象的だった。
「ムーンタン」の楽譜を手にしたのはいつだったのだろうか。たぶん今年の2月か3月で、みればタブ譜なしの9ページ。これはしんどいと思いつつ練習し始めたのだが、案外すらすら譜が読める。これは、紛れもなく
カルカッシを練習したおかげです。正直、見てくれほど難しい曲ではないと思う。コードの表記はないが、コード進行のパターンがすぐに読み取れる。右手奏法については、苦労しなかったわけではないけれども、難しいのは出だしの音をどう出すかだけではないかな。最初の音を出せれば、あとは右手だけ、左手だけでも十分音はつないでいける。ちなみに、同じ奏法をモーリスS92でも試してみたが、音は小さかった。クラシックギターなら生のまま右手奏法が可能だが、フォークギターではアンプで拡声するしかない。

さて、『ザ・カデンツア17』のライナーノーツに、アンドリュー・ヨークの
メッセージが掲載されているが、その和訳に誤りがあることが分かったので、老婆心ながら、修正しておきたい。
ムーンタンは木村大のために書いた曲である。(略)かれらは「サンバースト」
の続編を求めたので、わたしは「サンバースト」と同じチューニングを採用し、
左手と同様に右手でもネックのフレットを押さえる曲を作った。
(後略/太字が誤訳を修正した部分)
ちなみに、サンバースト(Sunburst)とムーンタン(Moontan)は言葉として対をなしていることにようやく気がついた。わたしの電子辞書(軽薄でしょ!)によると、Sunburstは「(雲間から)太陽がかっとさすこと」とあり、一方、Moontanのtanは「(皮膚を)日焼けさせること」「(日焼けした皮膚の)小麦色」とあるので、大雑把に訳せば、Sunburstは「日差し」か「日光焼け」、Moontanは「月の光」か「月光焼け」となるのではないだろうか。間違っていたら、どなたかご教示ください。
振り返ってみると、この曲がいちばんアガッていなかった。とくに激しいコードストロークやパーカッシブな奏法、さらにライトハンド奏法に移行してからは緊張感が消えてしまった。楽譜は置いておいたが、まったくみなかった。ただし、全体を通してミスが十ヶ所ぐらいあった。これは反省点ではあるけれども、次に同じレベルで弾き通せるかどうか怪しい。
第7回練習会、ほんとうに楽しかったですね。チョトロク代表ほかみなさまのおかげで、楽しい楽しい週末を過ごすことができました。繰り返し、深く感謝申し上げます!
- 2008/06/25(水) 00:32:41|
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